TITLE:第7回 「学習活動の基本スキル(2)」 *第7回 学習活動の基本スキル(2) [#ubae18f0] **レポートを書く(基礎編) [#hc93e149] -感想文は、自分の気持ちや感情を書き表したもの(主観的な見方) --心に残った文章とその理由を述べる --「もし自分なら」「こういう状況なら」など仮定して考えてみる -レポートは、調査や研究の結果わかった『事実』と、それに基づく自分の『意見』をまとめたもの --事実:内容が本当かどうか(真か偽か)客観的に確かめられる文 --意見:書き手の考え(判断、推測)をあらわした文(客観的な事実に基づく) ***レポートを書く手順 [#med9cf03] +大まかなテーマに関する基本的な情報を集める(新聞、インターネット、事典など) --テーマとなっている問題や課題について、全体像や大まかな内容を理解する +基本的な情報からより具体的なテーマを決める --大まかなテーマの中から自分が興味を持てる具体的なテーマに絞り込む +具体的なテーマに関する文献をいくつか集める(専門図書、専門雑誌、論文など) +集めた文献を読んでレポートにまとめる ***表紙のレイアウト [#of60528c] -担当教員名、開講曜日・時限、「授業名」レポート、レポートのテーマ名(必要であれば) -提出日 -学部・学科名、学籍番号、氏名 (表紙の例) 担当教員:河野 稔 水曜日 1時限 「基礎ゼミ?」レポート 2010年6月2日(水)提出 健康科学部 健康システム学科 H2101000 兵庫 太郎 ***レポート作成と提出時の注意 [#n33ceab1] -まずは「キャンパスガイド2010」の90ページで確認 -指定された提出日と時間、また書式などが指定されている場合は、必ず守る -用紙は、とくに指定がなければA4サイズのレポート用紙(ルーズリーフは避ける) -複数枚のレポートは、必ずページ番号を書いておき、ホッチキス止めは左上1か所または左側を2か所 ***正確な文章を書く [#j66f9d3a] -文体は「である体」で書く --普段の生活で使う「です・ます体」は使わない -主語と述語の関係を明確にする --「こそあど」言葉(指示代名詞)を多用しない、体言止めは使わない -文章の長さは短めにする --読点(、)が少ない文章で、あいまいな表現を避ける -読点(、)は、動詞を含む部分が2つ以上ある場合は、その間に打つ --読点で文章の意味をキチンと区切る -漢字とひらがなを使い分けに注意する --「言う」→「いう」 --「〜する時」→「〜するとき」 --「所謂」→「いわゆる」 --「特に」→「とくに」 --「故に」→「ゆえに」 --「時々」→「ときどき」 --○「いう」、×「ゆう」 --○「とおり」、×「とうり」 -接続詞を正しく使う --結果・帰結:ので、から、だから、したがって、と、それで、すると --逆説・対照:しかし、けれども、のに、ても、ところが --追加・累加:たり、そして、また、なお、ところが --言換・例示:つまり、すなわち、要するに、たとえば --理由・補足:なぜなら、というのは、、ただし、もっとも --話題の転換:さて、ところで -数字の書き方を統一する --アラビア数字(1、2、3、…)なら半角文字で書く -箇条書きを活用する --内容を列挙したり分類するには便利で、要点がはっきりする ***引用のしかた [#a94e3393] -「''引用''」とは、レポートや論文で、他の文献の意見や考えを紹介して、自分の意見を明確にする -引用するときの一番の注意点は、どの部分が引用なのか、それがわかるように書くこと --''他人の意見を自分の意見のように書く''ことは、いわゆる「盗作」という犯罪になる -また「引用に自分の意見を語らせない」で、自分の意見を陰陽とは別に書く -また引用は、必要最低限にとどめる 引用のしかたには、いくつかのやり方があるが、一般的なやり方を説明する。 +要約して引用:必要かつ十分な長さで要約する +短い引用(2行以内):引用文をカギカッコ(「」)でくくる #pre{{ 安田は、人々から組織の関係をとらえるのに「現象から記号(すなわち) モデルを投資するような柔軟性を備えなければならない」と述べている。 }} +長い引用(3行以上):引用文の前後に1行空けて、左側を2〜3文字分字下げする #pre{{ 安田は、『ネットワーク分析』のなかで、次のように述べている。 言葉をかえて言うならば、「行為者の行為を、個人的な属性からで はなく、その行為者を取り囲むネットワークによって説明する」た めの分析をおこなうのが、ネットワーク分析です。 つまり…… }} なお、2番目と3番目の場合は、 一字一句正確に引用し、 勝手に加筆・訂正してはいけない。 **「書評」を書いてみる [#ia994331] 文献や資料を批判的に読んで(クリティカル・リーディング)、 それを元にある問題点について批判的に考える(クリティカル・シンキング)の練習として、 文献や資料の批評、「''書評''」をしてみましょう。 書評全体の構成は、次のようになります。 -タイトル --著者名「題名・書名」、発行所、発行年。 -(1) 目的の提示 (全体の10%ほど) --どんなテーマの文献についての批評(コメント)なのか、著者がどんな議論をしているのか、内容について大まかに紹介する。 --以下で述べる手順について簡単に説明する。 -(2) 要約 (全体の30〜40%ほど) --文献やパラグラフ(段落)の順を追って、メリハリをつけて要約する。 ---まず、パラグラフを一文で要約。 ---パラグラフの要約をつなげたものを、さらに一文で要約。 ---場合によっては、節→章の順に、要約していく。 --キーワードやキーセンテンスについて説明をし、また、専門用語や重要な概念には解説をする。 -(3) 問題提起 (全体の10〜20%ほど) --著者の主張のうち、中心的・重要な話題を数点取り上げる。 ---自分が関心を持った主張、重要と思われる意見をピックアップし、その理由や根拠を示す(ただ「関心がある」「面白い」ではダメ)。 --それらに対しての自分自身の問題提起(疑問、反論、同意)を行う。 -(4) 議論(全体の30〜40%ほど) --自分で提起した問題について、議論を展開する。 --自分の主張を、別の例の提示や別の説明などを説得力のあるかたちで、論理的・実証的に説明する。 -(5) まとめ(全体の10〜20%ほど) --以上をまとめて要約し、結論づける。 **参考文献 [#z2decf3c] -学習技術研究会編著「知へのステップ 改訂版」, くろしお出版 (2006.10) -専修大学出版企画委員会編「知のツールボックス」, 専修大学出版局 (2006.04). -佐藤望編著, 湯川武, 横山千晶, 近藤明彦「アカデミック・スキルズ」, 慶応義塾大学出版会 (2006.10). -小笠原喜博「大学生のためのレポート・論文術」(講談社現代新書 1603), 講談社(2002.04). -河野哲也「レポート・論文の書き方入門 第3版」, 慶応義塾大学出版会 (2002.12). **今回の宿題(提出期限:次回の授業) [#e272478f] -今回配布した資料の書評を書いて提出すること --使用する紙のサイズは、A4サイズ --枚数は、2,3枚程度(ホッチキス止めはしないこと) --1枚目の最初には、次のように書いておくこと 「基礎ゼミI」レポート 2010年6月9日(水)提出 健康科学部 健康システム学科 学籍番号 自分の氏名 --手書きでもワープロで印刷したものでもよい |