第11回 レポートの書き方Ⅱ (3)
第11回 (2014-06-26) | アウトライン(骨組み)を考える、必要な資料を収集・整理する |
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第12回 (2014-07-02) | レポートを作成する | |
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第13回 (2014-07-09) | レポート(下書き)を提出して添削を受ける | プレゼンテーションを作成する |
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第14回 (2014-07-16) | レポートを修正する | プレゼンテーションを練習する |
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第15回 (2014-07-23) | 最終レポートを提出する | 本番のプレゼンテーションをして、相互評価する |
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レポートの提出について
- 枚数:表紙1枚+レポート本文3枚以上
- 原則として、ワープロで作成すること(文字サイズは 10〜11ポイント)
- 参考文献(参考にした文献や情報;序論と本論で利用)
- 図書または雑誌(一般雑誌、学術雑誌)から最低1冊
- インターネット上の情報(ただし、Wikipedia、個人のブログ、SNSやTwitterは除く)
- 提出期限(必ず 2回とも提出すること)
- 期限(1回目):2014年7月09日(水) 9時まで(時間厳守)→添削して返却
- 期限(2回目):2014年7月23日(水) 9時まで(時間厳守)
- 提出方法・提出先
- 印刷した紙(ホッチキス止めしない)+データのファイル(USBメモリに入れておく)
- 担当者の研究室 1E302研究室 (もし不在の場合は提出用の箱に入れる)、または、ゼミの時間
レポートの構成
たいていのレポートは「序論」「本論」「結論」の三部構成になっていますなっている。
- 序論 「読む人に向けて、これから何について、なぜ書こうとするのかを知ってもらう」
- 背景の説明:前提なる知識や事実を紹介
- 問いの提起:どこに問題点・疑問点を見つけたのか、何を明らかにしたいのか
- 主張の提示:問いに対する自分の主張(意見)
- 全体の構成:レポート全体の議論の展開の概説
- 本論 「問題提起したことへの答えを出す」
- 先行研究:これまでに行われた研究・調査の紹介と検討
- 用語の解説:基礎資料をもとに、専門用語や概念を説明
- 事実の提示:(複数の)事実を明らかにする(詳細に)
- 意見の提示:事実に基づく意見を述べる(詳細に)
- 最終的な主張の提示
- 結論 「全体を通しての主張をまとめる」
- 全体のまとめ:これまで述べたことを整理し、最終的な主張の妥当性を確認する
- 評価と展望:ここまでに述べたことを客観的に自己評価し、今後どのように発展させるか
- 参考文献「どんな資料や情報をもとにして考えたか」
- レポートで引用したり、執筆するうえで参考にした書籍・論文・ウェブページをリストにする
アウトラインの作成
レポート全体のアウトライン(大まかな内容;骨組み)をまとめて、
書くことの方針を決めておくと、
レポート作成がスムーズに進みます。
- テーマに関するキーワードを選び出し、基礎的な情報を十分調べておく
- アウトライン作りは試行錯誤して行う(テーマや問い・主張の変更があってもよい)
- ある程度できたら、内容をふくらませて(肉付け)、レポートに近づける
レポートで正確な文章を書く
- 文体は「である体」で書く
- 主語と述語の関係を明確にする
- 「こそあど」言葉(指示代名詞)を多用しない、体言止めは使わない
- 文章の長さは短めにする
- 読点(、)は、動詞を含む部分が2つ以上ある場合は、その間に打つ
- 漢字とひらがなを使い分けに注意する
- 「言う」→「いう」
- 「出来る」→「できる」
- 「分かる」→「わかる」
- 「〜する時」→「〜するとき」
- 「所謂」→「いわゆる」
- 「特に」→「とくに」
- 「故に」→「ゆえに」
- 「時々」→「ときどき」
- 「色々」→「いろいろ」
- ○「いう」、×「ゆう」
- ○「とおり」、×「とうり」
- 接続詞を正しく使う
- 結果・帰結:ので、から、だから、したがって、と、それで、すると
- 逆説・対照:しかし、けれども、のに、ても、ところが
- 追加・累加:たり、そして、また、なお、ところが
- 言換・例示:つまり、すなわち、要するに、たとえば
- 理由・補足:なぜなら、というのは、、ただし、もっとも
- 話題の転換:さて、ところで
- 数字の書き方を統一する
- 箇条書きを活用する
- 内容を列挙したり分類するには便利で、要点がはっきりする
- パラグラフ(トピックセンテンスなど)に注意する(第6回・第7回の資料を参照)
- 自分自身をあらわす「筆者」という主語は多用しない
- 用語や名称は統一し、むやみに省略して書かない
インターネットを利用して関連資料を探す
資料を探すときの方針
- テーマに関する全体的な知識や動向を調べる
- テーマに関する基礎的な知識や専門用語などを調べる
- テーマに関する最新の知識や動向を調べる
- テーマに関連する他の分野の知識や情報を調べる
探した情報は、どこにある情報かを記録して、コピーまたは印刷して保存しておきましょう。
- ネット上の情報は「お気に入り」に追加しておき、印刷もする
- 図書・文献は、コピーをしたり「文献メモ」を作成しておく
資料を探すときの注意点
- インターネット上の情報に頼りすぎない
- インターネット上には膨大な情報がありますが、信頼性が高く内容も正確な情報から、間違っていたり無責任に書かれた情報まで、玉石混淆の状態。
- できるだけ、書籍や新聞、学術論文などで裏付けを取るようにする
- 集めた情報のほとんどはレポートを書くのに直接は使えない
- 多くの情報を調べても、そのすべてをレポートに書けるとは限らない
- 集めること自体が無意味なわけではなく、書くために必要な基礎的な知識となる
ネットを使って探す(公的情報源、白書、統計資料など)
ネットを使って探す(専門に関する情報)
ネットを使って探す(文献情報など)
- 文献の題目・著者・本文などで検索
- OPAC(蔵書カタログ)の検索
- 電子ジャーナル
引用のしかた
「引用」とは、レポートや論文のなかで自分の意見を明確にするために、
他の文献の意見や考えを紹介することです。
引用で一番注意すべきことは、
どの部分が引用なのかをわかるように書くことです。
他人の意見を自分の意見のように書くことは、
他人の文章を盗んで自分のものとして発表する「盗作」、
いわゆる「剽窃」は絶対に行ってはいけません。
また、引用だけで自分の意見を述べるのではなく、
引用は必要最低限にとどめて書くことも大事です。
- 要約して引用:必要かつ十分な長さで要約する
- 短い引用(2行以内):引用文をカギカッコ(「」)でくくる
安田(1997)は、人々から組織の関係をとらえるのに「現象から記号(すなわち)
モデルを投資するような柔軟性を備えなければならない」と述べている。
- 長い引用(3行以上):引用文の前後に1行空けて、左側を2〜3文字分字下げする
安田は、『ネットワーク分析』のなかで、次のように述べている(安田 1997)。
言葉をかえて言うならば、「行為者の行為を、個人的な属性からでは
なく、その行為者を取り囲むネットワークによって説明する」ための
分析をおこなうのが、ネットワーク分析です。
つまり……
なお、2番目や3番目のような引用では、元の文章と一字一句正確に同じであることが大事です。
勝手に加筆・訂正してはいけません。
引用するときは必ず、
(次に説明する)どの参考文献から引用したかがわかるように、
「河野(2009)は」「河野(2009)によれば」や「…である(河野, 2009)。」のように
著者の名字と発行年(出版年)を書いて、引用元を明らかにします。
参考文献の示し方
引用したり参考にした資料・文献があれば、
その出典(情報の出所)を「参考文献」として書きだしておきます。
なお、参考文献として示すのに必要な情報は、
書籍の場合は奥付(巻末の著者・出版社などの情報が書かれた部分)に、
論文や記事の場合は余白部分などに書かれています。
- 単行本(単著、共著)
- 書式:著者名(出版年)『書名』,出版社.
- 例:安田雪 (2001) 『実践ネットワーク分析』,新曜社.
- 例:増田直紀・今野紀雄 (2005)『複雑ネットワークの科学』,産業図書.
- 単行本(編著)
- 書式:編著者(出版年)『書名』,出版社。
- 例:佐藤嘉倫・平松闊編 (2005) 『ネットワーク・ダイナミクス』,勁草書房.
- 翻訳書
- 書式:原著者名(出版年)『書名』,翻訳者名,出版社.
- 例:アルバート=ラズロ・バラバシ (2002) 『新ネットワーク思考』,青木薫訳,NHK出版.
- 学術雑誌の論文・記事
- 書式:著者名(発行年)「論文名・記事タイトル」『雑誌名』,巻・号,ページ.
- 例:中山洋・大和雅俊・山口正二・玉田和恵・松田稔樹 (2007) 「情報ののぞき見を題材とした情報モラル指導教材へのVRの活用に向けた実験的研究」『教育システム情報学会誌』,Vol.24 No.1,pp. 26-34.
- インターネット上の情報
- 書式:著者名または発行者名「ウェブページの題名」,URL(参照 閲覧した西暦での日付).
- 新聞・雑誌の記事
- 掲載紙(紙)名(発行年)「記事の題名」発行日時 朝刊・夕刊と面数.
- 例:朝日新聞 (2014) 「日本語版ネット無料講義開始 有名大教授らの授業」2014年4月18日 朝刊34面.
参考文献のリストを書くときには、次のことに注意してください。
- 複数の参考文献を書くときは、著者名の名字のアルファベット順に並べる
- 同じ著者で、同じ発行年(出版年)の文献を挙げる場合は、発行年の後に a、bとアルファベットを追記しておく
- 参考文献の示し方には、分野や年代によって書き方の違いがあること(ただし、何を書くかはだいたい同じ)
参考文献
- 科学技術振興機構「参考文献の役割と書き方 科学技術情報流通技術基準(SIST)の活用」,http://sti.jst.go.jp/sist/pdf/SIST_booklet2011.pdf (参照 2013-07-01).
- 藤田哲也編著「大学基礎講座 改増版」, 北大路書房(2006.03)
- 南田勝也・矢田部圭介・山下玲子「ゼミで学ぶスタディスキル」, 北樹出版 (2011.04)
- 学習技術研究会編著「知へのステップ 第3版」, くろしお出版 (2011.03)
- 石坂春秋「レポート・論文・プレゼン スキルズ」, くろしお出版 (2003.03).
- 佐藤望編著, 湯川武, 横山千晶, 近藤明彦「アカデミック・スキルズ」, 慶応義塾大学出版会 (2006.10).
- 小笠原喜博「大学生のためのレポート・論文術」(講談社現代新書 1603), 講談社(2002.04).
- 河野哲也「レポート・論文の書き方入門 第3版」, 慶応義塾大学出版会 (2002.12).
- 泉忠司「90分でコツがわかる!『論文&レポート』の書き方」, 青春出版社 (2009.07).