Top > 2015zemi1 > 10th
AND OR

第10回 レポートの書き方Ⅱ (2)

「基礎ゼミⅠ」では、その総仕上げとして、レポート作成とのその発表に取り組みます。 ゼミのスケジュールは、次のとおりです。 実際のレポート作成や発表の準備は、授業外時間に取り組んでもらいます。

第11回 (2015-07-01)アウトライン(骨組み)を考える、必要な資料を収集・整理する
第12回 (2015-07-08)レポートを作成する
第13回 (2015-07-15)レポート(下書き)を提出して添削を受けるプレゼンテーションを作成する
第14回 (2015-07-22)レポートを修正するプレゼンテーションを練習する
第15回 (2015-07-29)最終レポートを提出する本番のプレゼンテーションをして、相互評価する

【前回の復習】自分の考えをまとめて相手に伝える

「考えが伝わる文章」の構成

伝えたいことを、相手に確実に伝える文章にするために、 次の構成でまとめてみましょう。

  1. 問題 : ひとつの問題を示して問題意識を共有する
  2. 結論 : 相手を一つの結論へ導く
  3. 理由 : 結論にいたる筋道を相手に理解してもらう
  4. 理由を支える証拠 : 相手に理由を納得させる根拠を示す
  5. 反論への備え : 反対意見を想定してそれに対する再反論を示す
  6. 結論の確認 : 全体をまとめる

トゥールミンの三角ロジック

イギリスの哲学者のトゥールミン(Stephen Toulmin)による、 自分の主張を論証する論法(ロジック)である、 三角ロジックも利用してみましょう。

  • 主張(Claim)
    • 例)暑いときはクーラーを使う方がいい
  • データ(Data):主張を支える情報(事実、数値データ、書籍・文献など)
    • 例)室温が34度である
  • ワラント(Warrant):主張とデータをつないだり、主張とデータのギャップを埋める論拠
    • 例)クーラーを使えば室温は下がる、室温が下がると快適に過ごせる

また、主張とその三角ロジックをより強いものにするために、 反対の方法についても知っておきましょう。

  • 反駁(Rebuttal):データやワラントに反対する
  • 質疑(Question):データやワラントに疑問を提示する
  • 反論(Counter argument):別の三角ロジックを立てる

「考えが伝わる文章」の構成と対比してみましょう。

「考えが伝わる文章」の構成トゥールミンの三角ロジック
問題、結論主張
理由ワラント
理由を支える証拠データ、ワラント
反論への備え反駁・質疑・反論、データ・ワラント

レポートのテーマを検討する

テーマを決める方策

  1. 「よくわからない」ような言葉が、テーマの有力候補
    • 「興味があるだけ」ネタでは、思い込みがあったり、つまらないテーマになりがち
  2. 「問い」をたてる
    • 扱うテーマの焦点をできるだけ絞り込み、表題だけで主張や内容が伝わる、具体的な言葉を考える
    • 「〜について」は駄目(「自分の主張=テーマへの問いとその答え」になっていない)
    • 扱う問いは適切に(壮大すぎる問題、二者択一的な問題、専門的すぎる問題は避ける)
  3. テーマは絞り込んでいく
    • 基本的情報(背景、キーワード)→<社会的な状況、自分の興味・関心>→明らかにしたい課題(具体的なトピック)

【復習】アイデアを広げてまとめる

たくさんのアイデア(発想)や考えを広げたり(発散)、 引き出したアイデアを整理したり系統だててまとめたりする(収束)、 発想を支援する方法を実際にやってましょう。

【発散】ブレインストーミング(ブレスト)

引き出されるアイデアの「質」よりも「量」に重点をおいて、 短時間で、場合によっては多人数でアイデアを引き出す手法を、 プレインストーミングといいます。
ポイントは、 「質より量」「突飛さを歓迎」「ネガティブな判断はあとで」「他の人に便乗」などがあります。

  1. 与えられたテーマについて思いついたことを、カードや大型のポストイットに、1枚につき1件書く
  2. 全員のカードやポスイットを、壁や模造紙などに張って、簡単に説明する
  3. 説明に対してはポジティブに反応し、反対意見がある場合は新しいアイデアとして提案する
  4. 他のひとの意見やアイデアを参考にして、新しいアイデアを出してもよい

【収束】アイデアを整理してまとめる(KJ法、親和法)

引き出したアイデアは玉石混淆の状態です。 そのたくさんのアイデアを整理して、アイデア間の隠れた共通の概念や構造をあきらかにするのが、「KJ法」です。 (川喜田二郎「発想法―創造性開発のために」中公新書, 1967)

  1. ブレストなどで引き出したアイデアを一覧できるようにする
  2. アイデアの意味や特徴を確認しながら、似ているものを集める
  3. 集められたカードやポストイットのグループに、名前を付ける
  4. グループに分けたアイデアを参考に、グループごとや全体について、最初からの作業を何回か繰り返す

参考文献

  • 向後千春「スタディスキル【2014年度版】」, 早稲田大学人間科学学術院向後研究室 (2014.03)
  • 森時彦, ファシリテーターの道具研究会「ファシリテーターの道具箱」, ダイアモンド社 (2008.03).
  • 石井力重「アイデア・スイッチ」, 日本実業出版社 (2009.07).
  • 南田勝也・矢田部圭介・山下玲子「ゼミで学ぶスタディスキル」, 北樹出版 (2011.04)
  • 学習技術研究会編著「知へのステップ 第4版」, くろしお出版 (2015.04)
  • 中澤務・森貴史・本村康哲編「知のナヴィゲーター」, くろしお出版 (2007.04)

リロード   差分   ホーム 一覧 検索 最終更新 バックアップ リンク元   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: Tue, 23 Jun 2015 19:22:47 JST (3223d)