TITLE:第6回 「学習活動の基本スキル(1)」 *第6回「学習活動の基本スキル(1)」 [#ubae18f0] *第6回 学習活動の基本スキル(1) [#ubae18f0] これまでのゼミの資料は、次のサイトに公開されています。 印刷した資料が必要な場合は、サイトからプリントアウトしてください。 -http://arena.hyogo-dai.ac.jp/~kawano/kisozemi/ -ゼミに関係する書籍などの情報もあります。 **文献を読む ―クリティカル・リーディング(改良版)― [#n2042803] 「どこが、何が、面白かったのか」「どうして面白いと思ったのか」 「他の本と比べてどんな特徴があるのか」など、 批判的・分析的に読む。 ***書評(クリティカル・レビュー)を書く [#h284c041] 書評を通して、 自分なりのテーマと問題提起をして議論する仕方を学ぶ。 そして、知識の習得と、 自分独自のテーマ・問題の発見をする力を養う。 **レポートを書く(基礎編) [#hc93e149] -感想文は、自分の気持ちや感情を書き表したもの(主観的な見方) --心に残った文章とその理由を述べる --「もし自分なら」「こういう状況なら」など仮定して考えてみる -レポートとは、「調査や研究の結果わかった『事実』と、それに基づく自分の『意見』をまとめたもの --事実:内容が本当かどうか(真か偽か)客観的に確かめられる文 --意見:書き手の考え(判断、推測)をあらわした文(客観的な事実に基づく) だいたい、800字程度にまとめる。 ***表紙のレイアウト [#of60528c] -担当教員名 -開講曜日・時限 -「授業名」レポート --レポートのテーマ名(必要であれば) -提出日 -学部・学科名 -学籍番号、氏名 (表紙の例) 担当教員:河野 稔 水曜日 1時限 「基礎ゼミ?」レポート 2009年6月3日(水)提出 健康科学部 健康システム学科 H2091000 兵庫 太郎 ***書評の内容 [#ia994331] -タイトル --著者名「書名」、発行所、発行年。 --「参考文献の示し方」の書式にしたがって書く。 -目的の提示(全体の10%ほど) --どんなテーマの文献についての批判なのか、著者がどんな議論をしているのか大まかに説明する。 --以下で述べる手順について簡単に説明する。 -要約(全体の30〜40%ほど) --文献やパラグラフ(段落)の順を追って、メリハリをつけて要約する。 ---まず、パラグラフを一文で要約。 ---パラグラフの要約をつなげたものを、さらに一文で要約。 ---場合によっては、節→章の順に、要約していく。 --キーワードやキーセンテンスについて説明をし、また、専門用語や重要な概念には解説をする。 -問題提起(全体の10〜20%ほど) --著者の主張のうち、中心的・重要な話題を数点取り上げる。 ---自分が関心を持った主張、重要と思われる意見をピックアップし、その理由や根拠を示す(ただ「関心がある」「面白い」ではダメ)。 --それに対しての問題提起(疑問、反論、同意)を行う。 -議論(全体の30〜40%ほど) --問題提起した内容について、議論を展開する。 --別の例の提示や別の説明などを説得力のあるかたちで、論理的・実証的に説明する。 -まとめ(全体の10〜20%ほど) --以上をまとめて要約し、結論づける。 ***レポート作成と提出時の注意 [#n33ceab1] -まずは「キャンパスガイド2009」の83ページで確認 -指定された提出日と時間は、必ず守る -書式などが指定されている場合は、必ず守る -用紙は、とくに指定がなければA4サイズのレポート用紙(ルーズリーフは避ける) -複数枚のレポートは、左上を1か所、または左側を2か所、ホッチキスで止める ***正確な文章を書く [#j66f9d3a] -文体は「である体」で書く --普段の生活で使う「です・ます体」は使わない -主語と述語の関係を明確にする --「こそあど」言葉(指示代名詞)を多用しない、体言止めは使わない -文章の長さは短めにする --読点(、)が少ない文章で、あいまいな表現を避ける -読点(、)は、動詞を含む部分が2つ以上ある場合は、その間に打つ --読点で文章の意味をキチンと区切る -漢字とひらがなを使い分けに注意する --「言う」→「いう」 --「〜する時」→「〜するとき」 --「所謂」→「いわゆる」 --「特に」→「とくに」 --「故に」→「ゆえに」 --「時々」→「ときどき」 --○「いう」、×「ゆう」 --○「とおり」、×「とうり」 -接続詞を正しく使う --結果・帰結:ので、から、だから、したがって、と、それで、すると --逆説・対照:しかし、けれども、のに、ても、ところが --追加・累加:たり、そして、また、なお、ところが --言換・例示:つまり、すなわち、要するに、たとえば --理由・補足:なぜなら、というのは、、ただし、もっとも --話題の転換:さて、ところで -数字の書き方を統一する --アラビア数字(1、2、3、…)なら半角文字で書く -箇条書きを活用する --内容を列挙したり分類するには便利で、要点がはっきりする #br #br #br ***レポートの構成 [#uaf05c7f] たいていのレポートは「''序論''」「''本論''」「''結論''」の三部構成になっている。 -序論 「読む人に向けて、これから何について、なぜ書こうとするのかを知ってもらう」 --背景の説明:前提なる知識や事実を紹介 --問題の提起:そのテーマのどこに問題点・疑問点を見つけたのか --目的の提示:何を明らかにするのか -本論 「問題提起したことへの答えを出す」 --事実の提示:事実を明らかにする(複数の) --意見の提示:事実に基づく意見を述べる --最終的な主張の提示 -結論 「全体を通しての主張をまとめる」 --全体のまとめ:これまで述べてきたことを整理し、最終的な主張の妥当性を確認してもらう --評価と展望:成果について客観的に評価し、今後どのように発展させるか **レポートを書く(応用編) [#pfcd62c4] ***引用のしかた [#a94e3393] -「''引用''」とは、レポートや論文で、他の文献の意見や考えを紹介して、自分の意見を明確にする -引用するときの一番の注意点は、どの部分が引用なのか、それがわかるように書くこと --''他人の意見を自分の意見のように書く''ことは、いわゆる「盗作」という犯罪になる -また「引用に自分の意見を語らせない」で、自分の意見を陰陽とは別に書く -また引用は、必要最低限にとどめる 引用のしかたには、いくつかのやり方があるが、一般的なやり方を説明する。 +要約して引用:必要かつ十分な長さで要約する +短い引用(2行以内):引用文をカギカッコ(「」)でくくる #pre{{ 安田は、人々から組織の関係をとらえるのに「現象から記号(すなわち) モデルを投資するような柔軟性を備えなければならない」と述べている。 }} +長い引用(3行以上):引用文の前後に1行空けて、左側を2〜3文字分字下げする #pre{{ 安田は、『ネットワーク分析』のなかで、次のように述べている。 言葉をかえて言うならば、「行為者の行為を、個人的な属性からで はなく、その行為者を取り囲むネットワークによって説明する」た めの分析をおこなうのが、ネットワーク分析です。 つまり…… }} なお、2番目と3番目の場合は、 一字一句正確に引用し、 勝手に加筆・訂正してはいけない。 **参考文献の示し方 [#dd239c51] -引用したり参考にした資料があれば、 その出典(情報の出所)を、 「''参考文献''」として書き出す -参考文献として示すのに必要な情報は、 奥付(巻末の、著者や出版社、出版地が書かれた部分)にある -複数の参考文献を書くときは、著者名の五十音順またはアルファベット順に並べる -参考文献の示し方には、分野や年代によって、いくつかの書き方があることに注意 +単行本(単著、共著) --書式:著者名『書名』、出版社、出版年(西暦)。 ---例:安田雪『実践ネットワーク分析』、新曜社、2001年。 ---例:増田直紀、今野紀雄『複雑ネットワークの科学』、産業図書、2005年。 +単行本(編著) --書式:編著者『書名』、出版社、出版年(西暦)。 ---例:佐藤嘉倫・平松闊編『ネットワーク・ダイナミクス』、勁草書房、2005年。 +翻訳書 --書式:原著者名『書名』、翻訳者名、出版社、出版年(西暦)。 ---例:アルバート=ラズロ・バラバシ『新ネットワーク思考』、青木薫訳、NHK出版、2002年。 +雑誌論文・記事 --書式:著者名「論文名・記事タイトル」『雑誌名』、巻・号、発行年(西暦)、ページ。 ---例:中山洋、大和雅俊、山口正二、玉田和恵、松田稔樹「情報ののぞき見を題材とした情報モラル指導教材へのVRの活用に向けた実験的研究」『教育システム情報学会誌』, Vol.24 No.1、(2007年)、pp. 26〜34。 +インターネット上の情報 --書式:著者名または発行者名「文書名」、URL(閲覧日:西暦での日付)。 ---例:総務省情報通信政策局「平成19年度 情報通信白書」、http://www.johotsusintokei.soumu.go.jp/whitepaper/ja/h19/index.html(閲覧日:2008年5月20日)。 ---例:総務省情報通信政策局「平成19年度 情報通信白書」、http://www.johotsusintokei.soumu.go.jp/whitepaper/ja/h19/index.html(閲覧日:2009年5月20日)。 **参考文献 [#z2decf3c] -学習技術研究会編著「知へのステップ 改訂版」, くろしお出版 (2006.10) -専修大学出版企画委員会編「知のツールボックス」, 専修大学出版局 (2006.04). -佐藤望編著, 湯川武, 横山千晶, 近藤明彦「アカデミック・スキルズ」, 慶応義塾大学出版会 (2006.10). -小笠原喜博「大学生のためのレポート・論文術」(講談社現代新書 1603), 講談社(2002.04). -河野哲也「レポート・論文の書き方入門 第3版」, 慶応義塾大学出版会 (2002.12). |