第4回 資料の収集(2)
前回の復習:資料の収集(1)
大学図書館の利用
実際に図書館へ行って、「図書館ツアー」に参加し、図書館の利用について説明を受けました。
大学図書館のサービスには、次のようなものがあります。公立の図書館とほぼ同じ内容です。
- 資料の貸出
- レファレンス・サービス(「調べもの、探しもの、お手伝いします」)
- コピー・サービス
- 他大学の図書館などの利用
- 閲覧:他大学の図書館を利用できるように「閲覧依頼書」を発行
- 複写:文献のコピーを取り寄せる
- 借用:文献そのものを借りる
- 購入リクエスト
図書館での資料の分類
- 日本十進分類法(NDC : Nippon Decimal Classification)
- 資料の背に張られたシールに書かれている番号
- 資料のテーマ(主題、分野)ごとに分かれている
(例)芸術→スポーツ、体育→球技 : 「783」
資料や情報の収集への取り組み方
- テーマに関する全般的な知識や動向を調べる
- テーマに関する基礎的な知識や専門用語などを調べる
- テーマに関する最新の知識や動向を調べる
- テーマに関連する他の分野の知識や情報を調べる
調べ出した資料や情報は、メモしたり、コピーまたは印刷して、
記録として残して整理しましょう。
- 文献などの資料:コピーをしたり、「文献メモ」を作成しておく
- ネット上の情報:印刷したり、ブラウザの「お気に入り」に追加しておく
資料の種類(前回の復習)
- 参考図書(レファレンス・ブック):辞書、事典、百科事典、年鑑、統計資料、白書、文献目録
- 新聞:一般紙(全国紙、地方紙)、スポーツ紙・レジャー紙、専門誌、業界紙、機関紙、広報紙
- 図書/単行本:文庫本、新書、専門書など
- 雑誌、逐次刊行物(定期刊行物):一般雑誌(月刊誌、週刊誌など)、学術雑誌(学術雑誌、論文誌、講演論文集、学術定期刊行物など)
- インターネット上の情報:マスコミ(新聞やテレビなど報道機関)のサイト、行政(政府や自治体)、企業・各種団体のサイト、まとめサイト、個人のサイト(日記、ブログなど)
インターネットで資料を探す
大学図書館のサイトから利用できるものもありますから、チェックしておきましょう。
なお、有料サービスのため同時アクセス数が制限されれているものもあります。
実際にいくつかのサービスにアクセスしてみましょう。
- 全国のOPAC(蔵書カタログ)の検索
- 学術論文の題目・著者・本文などを検索
- 電子ジャーナル
- 白書、統計資料など
資料を探すときに一番手っ取り早いのは「知っている人に聞くこと」ですが、
自分でできることも多くあります。
資料や情報を探すときに、心がけることや、工夫するとよいことを考えてみましょう。
資料としての情報の鮮度・信頼性
- 鮮 度:インターネット>新聞>学術雑誌>図書>参考図書
- 信頼性:インターネット<新聞<学術雑誌<図書≒参考図書
参考文献リストの書き方(前回の続き)
学術雑誌を参考文献として示す場合には、
収録されている雑誌名や巻・号、ページ数など、多くの情報を
文献情報として記載する必要があります。
また、インターネット上の情報の場合は、
そのページが改変されたり削除される可能性があるため、
閲覧した日付を記載することが必要です。
- 学術雑誌の論文、一般雑誌の記事
- 書式:≪著者名≫(発行年)≪論文名・記事タイトル≫ ≪雑誌名≫,巻(号),ページ.
- 例:中山洋・大和雅俊・山口正二・玉田和恵・松田稔樹 (2007) 情報ののぞき見を題材とした情報モラル指導教材へのVRの活用に向けた実験的研究 教育システム情報学会誌,24 (1),26-34.
- インターネット上の情報
- 書式:≪著者名または発行者名≫ ≪ウェブページの題名≫,≪URL≫(閲覧した西暦での日付).
アイデアを広げてまとめる
たくさんのアイデア(発想)や考えを広げたり(発散)、
引き出したアイデアを整理したり系統だててまとめたりする(収束)、
発想を支援する方法を実際にやってましょう。
マインドマップ
イラストを取り入れながら、
頭の中のイメージを紙の上に広げていく思考技術に、
「マインドマップ」があります。
マインドマップのポイントは、
1つのテーマについて連想して思い浮かんだことを、
短い言葉や絵でそのまま紙に書きだして、
枝が放射状に伸びていくように、次々と広げていくことです。
- 多色ペン(色鉛筆やボールペンも可)と横長の大きめの紙(A4サイズ以上)を用意する。
- 紙の真ん中に、テーマを代表するようなイメージやキーワードを描く。色は3色以上使う。
- 真ん中のイメージから太い枝を伸ばすように何本か描く。それぞれの枝には真ん中のイメージから連想されるキーワードやイメージを1つ描く
- 伸ばした太い枝の先から、さらに枝を何本か伸ばす。元の枝のイメージに関連するキーワードやイメージを自由に描く。枝の先から新たな枝をつなげて伸ばしながら、木の枝のようにのように広げていく。伸ばすたびに枝はだんだん細くなる。
- 離れた枝にあるイメージがお互いに関連があるようなら、線でつないだり、ひとまとまりの枝を枠(雲型)で囲む。
ブレインストーミング(ブレスト)
引き出されるアイデアの「質」よりも「量」に重点をおいて、
短時間で、場合によっては多人数でアイデアを引き出す手法を、
プレインストーミングといいます。
ポイントは、
「質より量」「突飛さを歓迎」「ネガティブな判断はあとで」「他の人に便乗」などがあります。
- 与えられたテーマについて思いついたことを、カードや大型のポストイットに、1枚につき1件書く
- 全員のカードやポスイットを、壁や模造紙などに張って、簡単に説明する
- 説明に対してはポジティブに反応し、反対意見がある場合は新しいアイデアとして提案する
- 他のひとの意見やアイデアを参考にして、新しいアイデアを出してもよい
アイデアを整理してまとめる(KJ法、親和法)
引き出したアイデアは玉石混淆の状態です。
そのたくさんのアイデアを整理して、アイデア間の隠れた共通の概念や構造をあきらかにするのが、「KJ法」です。
(川喜田二郎「発想法―創造性開発のために」中公新書, 1967)
- ブレストなどで引き出したアイデアを一覧できるようにする
- アイデアの意味や特徴を確認しながら、似ているものを集める
- 集められたカードやポストイットのグループに、名前を付ける
- グループに分けたアイデアを参考に、グループごとや全体について、最初からの作業を何回か繰り返す
課題
- 自分が興味のあるテーマについて、キーワードを複数考えて、CiNii か Google Scholar で検索してください。
検索結果から「内容が気になる学術論文」をを3編選んで、ワークシートに参考文献リストとしてまとめてください。
- 自分の地元を紹介するマインドマップを作成してください。
参考文献
- 向後千春「スタディスキル【2014年度版】」, 早稲田大学人間科学学術院向後研究室 (2014.03)
- 学習技術研究会編著「知へのステップ 第4版」, くろしお出版 (2015.04)
- 佐藤望編著, 湯川武, 横山千晶, 近藤明彦「アカデミック・スキルズ」, 慶応義塾大学出版会 (2006.10).
- トニー・ブザン,バリー・ブザン著,神田昌典訳「ザ・マインドマップ」, ダイアモンド社 (2005.11).
- 森時彦, ファシリテーターの道具研究会「ファシリテーターの道具箱」, ダイアモンド社 (2008.03).
- 石井力重「アイデア・スイッチ」, 日本実業出版社 (2009.07).