第2回 「学習活動における基礎的知識と学習スキル」
学習活動とは
大学での授業の取り組み方を通じて、大学での学習活動について考えてみましょう。
基礎的知識
- 大学での学習(授業のスタイル、授業外学習、自主学習)
- ノートの活用(なぜノートをとるのか)
- 資料の活用(資料の種類や特徴の違い)
- 大学でのレポートの目的(正解があるとは限らない)
- 事実と意見の区別(事実を自分の主張に置き換えない)
学習スキル(スタディ・スキル)
- ノートの取り方(ノートテイキング)
- テキストの読み方(クリティカル・リーティング:批判的読解)
- 文献や資料の検索(図書館やデータベースの利用)
- 要約のしかた(パラグラフ、キーワードやキーセンテンス)
- 考えのまとめ方(事実と意見の区別、発想の展開)
- レポートの書き方(全体の構成、文献の引用)
- 発表のしかた(発表資料の作り方、口頭発表)
ノートテイキング(ノートの作り方)【基礎編】
ノートの書き方・使い方は、教えてもらったからといって、
最初からうまくはいきません。
上手にノートをマネしたり、試行錯誤を繰り返して、
少しずつ「自分にとって役に立つ」ノートの作り方を身に付けてください。
実際に3つのスタイルの模擬授業を行ってみますから、
それぞれのスタイルで何に注意すればいいか、
どのような工夫をすればよいかを考えながら、
ノートを取ってみてください。
- 教科書やプリントに沿った授業
- 板書を中心とする授業
- スライドを利用した授業
なぜノートを取る/作るのか?
ノートを取ったり作るのは、何の目的のためにするのか、
あらためて考えてみましょう。
たとえば、次の3つの目的でノートを取る/作るときに、
どのようなことに注意するとよいでしょうか?
- 授業での学習
- 予習・復習
- 自学自習、独学(他から教わらずに、自分一人で学ぶ)
【ポイント】ノートを活用するには?
- 授業内容を再現できるように:板書をそのまま写すのではなくポイントを押さえる
- キーワードや要点を逃さない:一言一句書き取っていては聞き逃す
- 授業内容を立体的にとらえる:記号や矢印、イラストなどをうまく使う
- 余白を多くつくって活用する:追加情報を記入する場所をあらかじめ用意しておく
授業のタイプ別のノートの取り方
ある「優れたノートの作り方の例」を参考にして、
役に立つノートの特徴や作り方のポイントを整理してみましょう。
例えば、インプット型・アウトプット型の授業でのポイントは、
次のようになります。
- インプット(知識説明)型授業
- 復習を重視し、キーワードや要約を書く余白をあらかじめ作る(例:コーネル大学式ノート)
- アウトプット(問題演習)型授業
- 予習を重視し、自分の考えや調べたことと模範解答を比べられるようにする
積極的にノートを活用するには、定期的に読み返すことが重要です。
ただし、試験前などに清書するのは二度手間です。
しばらくして読み返してときに授業を思い出せる程度に
丁寧に書くのがおススメです。
図解の活用
ノートを作るときには、文字で書くことだけが重要ではありません。
物事の関係や考え方・情報の構造などを図で書いた図解があれば、
視覚的に内容を理解・確認するのに役立ちます。
ノートをとるときに役立つ文房具
- 筆記用具
- 蛍光ペン:キーワードを中心に、コピーしても写らない
- ボールペン:速記に便利、3色ボールペン(色で重要度や情報の意味を使い分ける)
- (例)赤…もっとも重要な箇所、青…まあ重要な箇所、緑…面白い・興味を抱いた箇所
- 付箋の活用
- いろんな付箋:サイズ(大・中・小)、素材(紙、透明フィルム)
- メモや情報の整理に:大きめの付箋に書く、あとで内容ごとにグループに整理する
- 読書ときの目印:気に入ったフレーズに張る、疑問に思ったところに張る
参考文献
- 齋藤孝「三色ボールペン情報活用術」(角川oneテーマ21 B-43), 角川書店 (2003.06).
- 田村仁人「アタマが良くなる合格ノート術」, ディスカヴァー・トゥエンティワン (2007.04).
- 堀公俊, 加藤彰「ファシリテーション・グラフィック」, 日本経済新聞社 (2006.09).
- 太田あや「東大合格生のノートはかならず美しい」, 文藝春秋 (2008.09).
- 永田豊志「頭がよくなる「図解思考」の技術」, 中経出版 (2009.11).
次回(4月27日):「文献検索、資料収集」
- 文献検索、資料収集(図書館ツアーのため、9:00に図書館の入口前に集合)
- 近所の図書館について調べておく(図書館の名前、場所、雰囲気、特徴など)
- ノートテイキング(続き)
- 工夫をしてみた実際の授業のノートを用意(どの授業でもよい、どんな工夫をしたかを紹介)