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第6回 レポートの書き方Ⅰ (2)

前回の復習

要約してまとめる

文献の要点を的確に読み取り、その主張や意見を手短にまとめること。

  • パラグラフに注目して読み解く
    • 形式段落 : 文頭の一文字が空白で始まる、ひとまとまりの文章
    • 意味段落 : 一つ以上の段落で構成される、意味上のひとまとまりの文章(パラグラフ)
      • ひとつのパラグラフには、ひとつの意味や大事なポイントがある(大原則)
      • 重要なポイントは、段落の冒頭や末尾にあることが多い
      • 接続詞や形式段落をつなげる文章に注意して、段落同士のつながりを見る(つながりがある≒パラグラフ)
  • キーワードやキーセンテンスに印をつける [#e3987681]
    • キーワード : ひとつの段落や章・節のなかで、繰り返し出てくる重要な語句
    • キーセンテンス : キーワードを含む文章、重要なポイントと思われる文章

要約の大まかな手順

  1. パラグラフのつながり(接続詞など)に注目して、全体の構成を把握する
  2. パラグラフ(または、節・章)ごとに、キーワードやキーセンテンスを見つける
  3. キーワードやキーセンテンスをもとに、パラグラフ(または、節・章)ごとにまとめる
    • 並び替えや言葉の言い換えをしてもよい
  4. まとめたものを適切につないで、要約を完成する

文章を読み解く

文章を読むときには、 キーワード(カギになる語句)やキーセンテンス(カギになる文章)、 段落をつなげる言葉(接続詞など)に気をつけることが大事です。 さらに、次のような文章の構造にも注目しておきましょう。

トピック・センテンス

パラグラフ(意味上のひとまとまりの文章)は、 ひとつの話題(トピック)についてだけ扱うという特徴があります。 これを「1パラグラフ 1トピックの原則」といい、 論理的な文章(レポート、論文など)はこの原則にしたがっています。

そして、 そのパラグラフで書いた人が主張したいこと(トピック)を説明する文章を、 「トピック・センテンス」といい、パラグラフの中で重要な部分です。 一般的には、パラグラフの最初に書かれています。 各パラグラフのトピック・センテンスを読んでいけば、 大まかな内容を読み取ることができます。

議論の展開

議論の展開(話のつながり)には、さまざまなタイプがあります。 ここでは、よくある議論の展開を3つのみ紹介します。

【弁証法的展開】
正(命題)・反(反対命題)・合(総合)の3つの部分からなる展開で、古典的なタイプです。あるテーマについて、自分の意見(正)と、それに対立(または矛盾)する意見(反)を述べ、2つの意見を総合して新たに導き出された意見(合)を述べます。
【因果による展開】
まずテーマとなっている事実や事象を述べたあと、その原因を明らかにし、さらに原因から生じた結果を示して、最後にテーマに対する解決策を示すというタイプです。
【比較による展開】
あるテーマについて2つのものを比較・検討するために、まず2つのものの共通点や類似するところを述べ、次に相違点を述べて、最後に全体を総合的に説明するというタイプです。

事実と意見の区別

文章には、「事実」と「意見」が混ざっています。 文章を読み解くためには、これらを区別することが重要です。

事実とは、出来事や誰もが知り得る情報など、 客観的(誰が見ても同じように受け止めるられる)なものです。 また、意見はどちらかといえば主観的(その人だけが考えたり感じるかもしれない)なものです。

しかし、意見の中にも、 「客観的な事実」を根拠とした意見、つまり「事実に基づいた意見」があります。 この「客観的な事実」と「事実に基づいた意見」を明確にすることで、 書いた人の考えを読み解くことができます。

クリティカル・リーディング(批判的読解)

単に文献の内容を正確に理解するだけでなく、 批判的に考えながら読むこと(クリティカル・リーディング)で、内容を吟味し、 自分自身を意見を創り出すことが大切です。

  1. 著者の主張のうち、中心となる話題や重要な説明をいくつか取り上げる
    • 関心を持った内容、重要と思われる意見など
    • なぜそれらを取り上げたのか、理由や根拠をはっきりしておく(ただ「関心がある」「面白い」ではダメ)
  2. 内容に対しての自分から見た疑問を持ち、その答えを探しながら読む(問題提起)
    • 読む前からあらかじめ自分が持っている疑問
    • 読んでいくうちに生まれた疑問
  3. 書かれている事実・意見が正しいか論理的に検証する
    • 具体性に欠けていないか
    • 議論に矛盾がないか
    • 客観的な事実に基づいているか(感情に基づいていないか)
  4. 場合によっては文献の主張や意見に対して説得力のある異論を唱える

参考文献

  • 藤田哲也編著「大学基礎講座 改増版」, 北大路書房(2006.03)
  • 中澤務・森貴史・本村康哲編「知のナヴィゲーター」, くろしお出版 (2007.04)
  • 学習技術研究会編著「知へのステップ 第3版」, くろしお出版 (2011.04)
  • 専修大学出版企画委員会編「知のツールボックス」, 専修大学出版局 (2006.04).
  • 佐藤望編著, 湯川武, 横山千晶, 近藤明彦「アカデミック・スキルズ」, 慶応義塾大学出版会 (2006.10).

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Last-modified: Tue, 13 May 2014 17:37:02 JST (3639d)