TITLE:第5回 レポートの書き方Ⅰ (1)
*第5回 レポートの書き方Ⅰ (1) [#ubae18f0]
**要約してまとめる [#de063d42]
文献の要点を的確に読み取り、
その主張や意見を手短にまとめるのが「''要約''」です。
的確な要約をするには、内容を十分に理解していなければできません。
要約の練習をすることで、読み解く力を身につけることができます。
***パラグラフに注目して読み解く [#t1f6b196]
''パラグラフ''の日本語訳は「段落」ですが、
文書全体の役割上、「パラグラフ=段落」ではありません。
-''形式段落'' : 文頭の一文字が空白で始まる、ひとまとまりの文章
-''意味段落'' : 一つ以上の段落で構成される、''意味上のひとまとまりの文章''
パラグラフには次のような特徴があるので、読み解くときに注意しましょう。
+''ひとつのパラグラフには、ひとつの意味や大事なポイントがある''(大原則)
+重要なポイントは、段落の冒頭や末尾にあることが多い
+接続詞や形式段落をつなげる文章に注意して、段落同士のつながりを見る(つながりがある≒パラグラフ)
|CENTER:|LEFT:|c
|~種類|~働き|CENTER:~接続詞の例|h
|~付加|別の要素を付け加える|そして、しかも、さらに|
|~理由|理由や根拠を述べる|なぜなら、というのは、その理由は|
|~対立|反対の要素を述べる|しかし、けれども、反対に、|
|~転換|話のながれを転換する|〜だが、ところが、むしろ|
|~出発点・並列|同じ要素を述べる|まず、第一に、第二に、第三に、同様に|
|~例示|具体例を示す|たとえば、その一つが〜|
|~解説|わかりやすく説明する|すなわち、いいかえれば、つまり、要するに|
|~帰結|理由や原因の結果を示す|〜ので、〜から、だから、したがって、それゆえ|
|~補足|説明を補う|ただし、ただ、もっとも|
***キーワードやキーセンテンスに注目する [#e3987681]
要約をする上で、文章の「中心」となる部分を見抜くことが大切です。
-''キーワード'' : ひとつの段落や章・節のなかで、繰り返し出てきたりする重要な語句
-''キーセンテンス'' : キーワードを含む文章、重要なポイントと思われる文章
蛍光ペンや付せんなどで、キーワードやキーセンテンスに印をつけておけば、
理解を深めたり、効率良く読み解くのに役立ちます。
***要約して内容を整理する [#w87ba0ab]
-正確に読み解けているかを確認するために、要点を押さえる
-自分で勝手に意味をつけたり、見当違いの解釈をしないようにする
-段階的に要約していく(要約の過程で、解釈に必要となる部分のみをまとめる)
〈段落・パラグラフの要約〉→〈節・章の要約〉→〈文献全体の要約〉
***要約の大まかな手順 [#y15d9600]
+パラグラフのつながり(接続詞など)に注目して、全体の構成を把握する
+パラグラフ(または、節・章)ごとに、キーワードやキーセンテンスを見つける
+キーワードやキーセンテンスをもとに、パラグラフ(または、節・章)ごとにまとめる
--並び替えや言葉の言い換えをしてもよい
+まとめたものを適切につないで、要約を完成する
**文章を読み解く [#d9068ed6]
文章を読むときには、
キーワード(カギになる語句)やキーセンテンス(カギになる文章)、
段落をつなげる言葉(接続詞など)に気をつけることが大事です。
さらに、次のような文章の構造にも注目しておきましょう。
***トピック・センテンス [#xcc2b466]
パラグラフ(意味上のひとまとまりの文章)では、
ひとつの話題(トピック)についてだけ扱うという特徴があります。
これを「''1パラグラフ1トピックの原則''」といい、
論理的な文章(レポート、論文など)はこの原則にしたがっています。
そして、
そのパラグラフにおいて主張したいこと(トピック)を述べている箇所を、
「''トピック・センテンス''」といい、パラグラフの中で重要な部分です。
一般的には、パラグラフの最初に書かれています。
各パラグラフのトピック・センテンスを読んでいけば、
大まかな内容を読み取ることができます。
***議論の展開 [#s7837fef]
議論の展開(話のつながり)には、さまざまなタイプがあります。
ここでは、よくある議論の展開を3つのみ紹介します。
:【弁証法的展開】|正(命題)・反(反対命題)・合(総合)の3つの部分からなる展開で、古典的なタイプです。あるテーマについて、自分の意見(正)と、それに対立(または矛盾)する意見(反)を述べ、2つの意見を総合して新たに導き出された意見(合)を述べます。
:【因果による展開】|まずテーマとなっている事実や事象を述べたあと、その原因を明らかにし、さらに原因から生じた結果を示して、最後にテーマに対する解決策を示すというタイプです。
:【比較による展開】|あるテーマについて2つのものを比較・検討するために、まず2つのものの共通点や類似するところを述べ、次に相違点を述べて、最後に全体を総合的に説明するというタイプです。
**参考文献 [#z2decf3c]
-藤田哲也編著「大学基礎講座 改増版」, 北大路書房(2006.03)
-中澤務・森貴史・本村康哲編「知のナヴィゲーター」, くろしお出版 (2007.04)
-学習技術研究会編著「知へのステップ 第3版」, くろしお出版 (2011.04)
-専修大学出版企画委員会編「知のツールボックス」, 専修大学出版局 (2006.04).
-佐藤望編著, 湯川武, 横山千晶, 近藤明彦「アカデミック・スキルズ」, 慶応義塾大学出版会 (2006.10).
// -小笠原喜博「大学生のためのレポート・論文術」(講談社現代新書 1603), 講談社(2002.04).
// -河野哲也「レポート・論文の書き方入門 第3版」, 慶応義塾大学出版会 (2002.12).
// -飯間浩明「非論理的な人のための論理的な文章の書き方入門」(ディスカバー携書 029), ディスカバー・トゥエンティワン (2008.12).
|