第10回「演習課題への取り組み(1)」
アイデアをひき出す・整理する
アイデア(発想)をひき出したり整理する方法として、
以前紹介したマインドマップのほかに、次の方法があります。
自分でアイデアを整理する(KJ法、親和法)
- ブレストをして出てきたアイデア全部を一覧できるようにする
- アイデアの意味や特徴を確認しながら、似ているものを集める
- 集められたカードやポストイットのグループに、名前を付ける
- グループに分けたアイデアを参考に、グループごとや全体について、最初からの作業を何回か繰り返す
皆でアイデアをひき出す(ブレインストーミング:ブレスト)
- 与えられたテーマについて思いついたことを、カードや大型のポストイットに、1枚につき1件書く
- 全員のカードやポスイットを、壁や模造紙などに張って、簡単に説明する
- 説明に対してはポジティブに反応し、反対意見がある場合は新しいアイデアとして提案する
- 他のひとの意見やアイデアを参考にして、新しいアイデアを出してもよい
クリティカル・リーディング(批判的読解)
単に文献の内容を正確に理解するだけでなく、
批判的に考えながら読むこと(クリティカル・リーディング)で、内容を吟味し、
自分自身を意見を創り出すことが大切です。
- 著者の主張のうち、中心となる話題や重要な説明をいくつか取り上げる
- 関心を持った内容、重要と思われる意見など
- なぜそれらを取り上げたのか、理由や根拠をはっきりしておく(ただ「関心がある」「面白い」ではダメ)
- 内容に対しての自分から見た疑問を持ち、その答えを探しながら読む(問題提起)
- 読む前からあらかじめ自分が持っている疑問
- 読んでいくうちに生まれた疑問
- 書かれている事実・意見が正しいか論理的に検証する
- 具体性に欠けていないか
- 議論に矛盾がないか
- 客観的な事実に基づいているか(感情に基づいていないか)
- 場合によっては文献の主張や意見に対して説得力のある異論を唱える
「書評」を書いてみる
文献や資料を批判的に読んで(クリティカル・リーディング)、
それを元にある問題点について批判的に考える(クリティカル・シンキング)の練習として、
文献や資料の批評、書評(クリティカル・レビュー)をしてみましょう。
書評全体の構成は、次のようになります。
- 文献の情報:著者名 発行年『題名・書名』出版社
- (1) 目的の提示 (全体の10%ほど)
- どんなテーマの文献への批評(コメント)なのか、著者がどんな議論をしているのか、内容を大まかに紹介する。
- 以下で述べる手順について簡単に説明する。
- (2) 要約 (全体の30〜40%ほど)
- 文献やパラグラフ(段落)の順を追って、メリハリをつけて要約する。
- まず、パラグラフを一文で要約。
- パラグラフの要約をつなげたものを、さらに一文で要約。
- 場合によっては、節→章の順に、要約していく。
- キーワードやキーセンテンスについて説明をし、また、専門用語や重要な概念には解説をする。
- (3) 問題提起 (全体の10〜20%ほど)
- 著者の主張のうち、中心的・重要な話題を数点取り上げる。
- 自分が関心を持った主張、重要と思われる意見をピックアップし、その理由や根拠を示す(ただ「関心がある」「面白い」ではダメ)。
- それらに対しての自分自身の問題提起(疑問、反論、同意)を行う。
- (4) 議論(全体の30〜40%ほど)
- 自分で提起した問題について、議論を展開する。
- 自分の主張を、別の例の提示や別の説明などを説得力のあるかたちで、論理的・実証的に説明する。
- (5) まとめ(全体の10〜20%ほど)
宿題(提出期限:6月20日の授業)
- 前回配布し、今回シートにまとめた文献の書評を書いて提出すること
参考文献
- 森時彦, ファシリテーターの道具研究会「ファシリテーターの道具箱」, ダイアモンド社 (2008.03).
- 石井力重「アイデア・スイッチ」, 日本実業出版社 (2009.07).
- 中澤務・森貴史・本村康哲編「知のナヴィゲーター」, くろしお出版 (2007.04)
- 学習技術研究会編著「知へのステップ 第3版」, くろしお出版 (2011.03)
- 南田勝也・矢田部圭介・山下玲子「ゼミで学ぶスタディスキル」, 北樹出版 (2011.04)
- 専修大学出版企画委員会編「知のツールボックス」, 専修大学出版局 (2006.04).
- 佐藤望編著, 湯川武, 横山千晶, 近藤明彦「アカデミック・スキルズ」, 慶応義塾大学出版会 (2006.10).
- 河野哲也「レポート・論文の書き方入門 第3版」, 慶応義塾大学出版会 (2002.12).