TITLE:第10回 レポートの書き方Ⅱ (2) *第10回 レポートの書き方Ⅱ (2) [#ubae18f0] **最終レポートとプレゼンテーション [#m522cae1] #br 「基礎ゼミⅠ」では、その総仕上げとして、レポート作成とのその発表に取り組みます。 ゼミのスケジュールは、次のとおりです。 実際のレポート作成や発表の準備は、授業外時間に取り組んでもらいます。 |CENTER:|LEFT:|c |~第11回 (2014-06-26)|テーマを確定する。アウトライン(骨組み)を組み立てる。| |~第12回 (2014-07-02)|必要な資料を収集・整理する。アウトラインを提出する。| |~第13回 (2014-07-09)|レポートを作成して、添削を受ける。| |~第14回 (2014-07-16)|レポートを提出する。プレゼンテーションを練習する。| |~第15回 (2014-07-23)|最終のプレゼンテーションをする。内容をお互いに評価する。| |CENTER:|LEFT:|LEFT:|c |~第11回 (2015-07-01)|>|アウトライン(骨組み)を考える、必要な資料を収集・整理する| |~第12回 (2015-07-08)|レポートを作成する|| |~第13回 (2015-07-15)|レポート(下書き)を提出して添削を受ける|プレゼンテーションを作成する| |~第14回 (2015-07-22)|レポートを修正する|プレゼンテーションを練習する| |~第15回 (2015-07-29)|最終レポートを提出する|本番のプレゼンテーションをして、相互評価する| **レポートを書く [#hc93e149] ***レポートの構成 [#ma0aa15a] たいていのレポートは「''序論''」「''本論''」「''結論''」の三部構成になっている。 **【前回の復習】自分の考えをまとめて相手に伝える [#o05ce396] -序論 「読む人に向けて、これから何について、なぜ書こうとするのかを知ってもらう」 --背景の説明:前提なる知識や事実を紹介 --問いの提起:どこに問題点・疑問点を見つけたのか、何を明らかにしたいのか --主張の提示:問いに対する自分の主張(意見) --全体の構成:レポート全体の議論の展開の概説 -本論 「問題提起したことへの答えを出す」 --先行研究:これまでに行われた研究・調査の紹介と検討 --用語の解説:基礎資料をもとに、専門用語や概念を説明 --事実の提示:(複数の)事実を明らかにする(詳細に) --意見の提示:事実に基づく意見を述べる(詳細に) --最終的な主張の提示 -結論 「全体を通しての主張をまとめる」 --全体のまとめ:これまで述べたことを整理し、最終的な主張の妥当性を確認する --評価と展望:ここまでに述べたことを客観的に自己評価し、今後どのように発展させるか -参考文献「どんな資料や情報をもとにして考えたか」 --レポートで引用したり、執筆するうえで参考にした書籍・論文・ウェブページをリストにする ***「考えが伝わる文章」の構成 [#af9fb520] 伝えたいことを、相手に確実に伝える文章にするために、 次の構成でまとめてみましょう。 +問題 : ひとつの問題を示して問題意識を共有する +結論 : 相手を一つの結論へ導く +理由 : 結論にいたる筋道を相手に理解してもらう +理由を支える証拠 : 相手に理由を納得させる根拠を示す +反論への備え : 反対意見を想定してそれに対する再反論を示す +結論の確認 : 全体をまとめる ***トゥールミンの三角ロジック [#q1eb47c2] イギリスの哲学者のトゥールミン(Stephen Toulmin)による、 自分の主張を論証する論法(ロジック)である、 三角ロジックも利用してみましょう。 ***レポート作成の手順(タイトルの決定から資料の収集へ) [#c32dd7a5] +背景の把握 --大まかなテーマに関する基本的な情報を集める(新聞、インターネット、事典など) --テーマとなっている問題や課題について、全体像や大まかな内容を理解する +問題提起 --(与えられた)大きなテーマから、具体的なテーマに絞り込む --社会的な問題点や疑問点、興味・関心のあるの具体的な事柄、また明らかにしたいと思う事柄を明確にする +仮説の提示・主張 --それらの事柄への対応策・解決策に関する自分なりの考えを仮説として述べる --また、調査や研究の必要性やその方針を検討する +主題(表題)の決定 --問題提起や自分の仮説(主張)をもとに、その主張や内容が伝わる、具体的なタイトルを考える +資料の収集・整理 --問題とした事柄や自分の仮説(主張)を裏付けるような、資料を収集する --専門図書や雑誌・論文など、具体的なテーマに関する文献(先行研究、参考文献)を集めて、整理する +レポートの構成の検討、テーマの再検討 --集めた資料をもとに、レポート全体の構成(アウトライン)を検討する --集めた資料から、テーマをさらに絞り込んだり、考えなおしたり、再検討する -主張(Claim) --例)暑いときはクーラーを使う方がいい -データ(Data):主張を支える情報(事実、数値データ、書籍・文献など) --例)室温が34度である -ワラント(Warrant):主張とデータをつないだり、主張とデータのギャップを埋める論拠 --例)クーラーを使えば室温は下がる、室温が下がると快適に過ごせる また、主張とその三角ロジックをより強いものにするために、 反対の方法についても知っておきましょう。 -反駁(Rebuttal):データやワラントに反対する -質疑(Question):データやワラントに疑問を提示する -反論(Counter argument):別の三角ロジックを立てる **テーマを決める方策 [#n09a9488] 「考えが伝わる文章」の構成と対比してみましょう。 |~「考えが伝わる文章」の構成|~トゥールミンの三角ロジック| |問題、結論|主張| |理由|ワラント| |理由を支える証拠|データ、ワラント| |反論への備え|反駁・質疑・反論、データ・ワラント| **レポートのテーマを検討する [#i86ff51e] ***テーマを決める方策 [#n09a9488] +「よくわからない」ような言葉が、テーマの有力候補 --「興味があるだけ」ネタでは、思い込みがあったり、つまらないテーマになりがち +「問い」をたてる --テーマの中でできるだけ焦点を絞り込み、表題だけで主張や内容が伝わる、具体的な言葉を考える --「〜について」は駄目(「自分の主張=テーマへの問い」になっていない) --扱うテーマの焦点をできるだけ絞り込み、表題だけで主張や内容が伝わる、具体的な言葉を考える --「〜について」は駄目(「自分の主張=テーマへの問いとその答え」になっていない) --扱う問いは適切に(壮大すぎる問題、二者択一的な問題、専門的すぎる問題は避ける) +テーマは絞り込んでいく --基本的情報(背景、キーワード)→<社会的な問題、自分の興味・関心>→明らかにしたい課題(具体的テーマ) **アイデアをひき出す・整理する [#pe4d1474] アイデア(発想)をひき出したり整理する方法として、 以前紹介した[[マインドマップ>../4th]]のほかに、次の方法があります。 --基本的情報(背景、キーワード)→<社会的な状況、自分の興味・関心>→明らかにしたい課題(具体的なトピック) *** [#fe7feb93] ***皆でアイデアをひき出す(ブレインストーミング:ブレスト) [#n4547d92] **【復習】アイデアを広げてまとめる [#ea6148cc] たくさんのアイデア(''発想'')や考えを広げたり(''発散'')、 引き出したアイデアを整理したり系統だててまとめたりする(''収束'')、 発想を支援する方法を実際にやってましょう。 ***【発散】ブレインストーミング(ブレスト) [#n4547d92] 引き出されるアイデアの「質」よりも「量」に重点をおいて、 短時間で、場合によっては多人数でアイデアを引き出す手法を、 プレインストーミングといいます。&br; ポイントは、 「質より量」「突飛さを歓迎」「ネガティブな判断はあとで」「他の人に便乗」などがあります。 +与えられたテーマについて思いついたことを、カードや大型のポストイットに、1枚につき1件書く --「最低一人○件以上」という条件をつけるとよい +全員のカードやポスイットを、壁や模造紙などに張って、簡単に説明する +説明に対してはポジティブに反応し、反対意見がある場合は新しいアイデアとして提案する +他のひとの意見やアイデアを参考にして、新しいアイデアを出してもよい ***自分でアイデアを整理する(KJ法、親和法) [#tdcdf517] +ブレストをして出てきたアイデア全部を一覧できるようにする ***【収束】アイデアを整理してまとめる(KJ法、親和法) [#tdcdf517] 引き出したアイデアは玉石混淆の状態です。 そのたくさんのアイデアを整理して、アイデア間の隠れた共通の概念や構造をあきらかにするのが、「''KJ法''」です。 (川喜田二郎「発想法―創造性開発のために」中公新書, 1967) +ブレストなどで引き出したアイデアを一覧できるようにする +アイデアの意味や特徴を確認しながら、似ているものを集める +集められたカードやポストイットのグループに、名前を付ける +グループに分けたアイデアを参考に、グループごとや全体について、最初からの作業を何回か繰り返す **参考文献 [#z2decf3c] -向後千春「スタディスキル【2014年度版】」, 早稲田大学人間科学学術院向後研究室 (2014.03) -森時彦, ファシリテーターの道具研究会「ファシリテーターの道具箱」, ダイアモンド社 (2008.03). -石井力重「アイデア・スイッチ」, 日本実業出版社 (2009.07). -南田勝也・矢田部圭介・山下玲子「ゼミで学ぶスタディスキル」, 北樹出版 (2011.04) -学習技術研究会編著「知へのステップ 第3版」, くろしお出版 (2011.03) -学習技術研究会編著「知へのステップ 第4版」, くろしお出版 (2015.04) -中澤務・森貴史・本村康哲編「知のナヴィゲーター」, くろしお出版 (2007.04) |