TITLE:正規分布と関連する分布 *正規分布と関連する分布 [#a27afff9] **正規分布 [#o636d31d] -自然界や一般に観察できる多くのものの分布は、平均値を中心に左右対称の''釣り鐘状''の分布になっていることがある --生物現象、毎年の雨量など --身長や体重、標準的なテストの成績など **正規分布 (normal distribution) [#o636d31d] ***正規分布とは [#ie06ba92] -平均値を中心に左右対称の釣り鐘状になる分布を、「''正規分布''」という #mimetex(){{ f(x) = \frac{1}{ \sqrt{2 \pi} \sigma } e^{ \frac{ (x - \mu)^2 }{ 2 \sigma^2 } } }} --&mimetex(\normalsize \mu ); : 平均値 --&mimetex(\normalsize \sigma ); : 標準偏差 --&mimetex(\normalsize \sigma^2 ); : 分散 -確率密度関数が上の式になるとき、『&mimetex(\normalsize x ); は、平均が &mimetex(\normalsize \mu ); で標準偏差が &mimetex(\normalsize \sigma); の正規分布にしたがう』といい、&mimetex(\normalsize N(\mu, \sigma^2) ); と表す --つまり、平均値と分散(標準偏差)から分布が決まる --さまざまな推定や検定に使われる ***正規分布の特徴 [#k2b2a4fd] -分布の中心は平均値 &mimetex(\normalsize \mu ); で、最も高い値(極大値)をとる --平均値が変化すると、分布が左右に移動する -&mimetex(\normalsize \mu \pm \sigma); で変曲点(曲線の凹凸の変わり目)になる --標準偏差が変化すると、分布の高さや広がりが変化する -平均値、中央値、最頻値は一致する -平均値と標準偏差から、分布の割合(曲線とx軸に囲まれる面積)が決まる --&mimetex(\normalsize \mu \pm \sigma); の範囲 : 全体の約 68.24% --&mimetex(\normalsize \mu \pm 2 \sigma); の範囲 : 全体の約 95.44% --&mimetex(\normalsize \mu \pm 2 \sigma); の範囲 : 全体の約 97.73% --それ以外の範囲 : 全体の約 0.27% **標準正規分布 [#xb5ab807] ***標準正規分布とは [#q6ad609c] -正規分布で、平均値が 0 、標準偏差が 1 になるように、変数 &mimetex(\normalsize x ); を次のように変換する(変数変換) #mimetex(){{ z = \frac{ x -\mu }{ \sigma } }} -すると、標準偏差の式は次のようになる #mimetex(){{ f(z) = \frac{1}{ \sqrt{2 \pi} } e^{ \frac{ z^2 }{ 2 } } }} -確率密度関数が上の式になるとき、『&mimetex(\normalsize x ); は、標準正規分布にしたがう』という --『&mimetex(\normalsize x ); は、平均が 1 で標準偏差が 0 の正規分布にしたがう』ことになり、&mimetex(\normalsize N(0, 1^2) ); と表すことができる --つまり、変数だけから分布が決まる --さまざまな推定や検定に使われる ***標準化(基準化) [#r25f4866] -先ほどの変数変換を、「''標準化''」まはた「基準化」という #mimetex(){{ z = \frac{ x -\mu }{ \sigma } }} -(感覚としては)分布を平均値の分だけ 0 まで移動し、分散の広がりを &mimetex(\normalsize \frac{1}{\sigma} ); にする --単位の異なるデータや平均値・分散が異なるデータを比較するときに使う(英語と数学のテストの成績の比較) -ちなみに偏差値は、標準化を応用したもので、次のような式になる #mimetex(){{ z = 50 + 10 \times \frac{ x -\mu }{ \sigma } }} ***標準正規分布の特徴 [#qcce0b30] -基本的な特徴は、正規分布と同じ -確率密度関数とx軸で囲まれた面積は1で、面積は確率(割合)を表す **カイ二乗分布 [#ydd9c35a] ***カイ二乗分布とは [#d0bb31bd] -変数 &mimetex(\normalsize x_n ); が標準正規分布にしたがい、互いに独立であるとする -次のようになるとき、『&mimetex(\normalsize x ); は、自由度 &mimetex(\normalsize r ); のカイ二乗( &mimetex(\normalsize \chi^2 ); )分布にしたがう』という #mimetex(){{ \chi^2 = {x_1}^2 + {x_2}^2 + \cdots + {x_n}^2 = \sum_{i=1}^n { x_i }^2 }} --自由度とは分布の形状に影響を及ぼす値で、自由度の値が変わると分布の形状も変化する ***カイ二乗分布の特徴 [#p9def579] -平均は &mimetex(\normalsize n ); 、分散は &mimetex(\normalsize 2n ); になる -適合度や独立性の検定などに利用される -自由度が大きくなると、対称な分布に近づく **t分布 [#t303c39c] ***t分布とは [#f30ad746] -標準正規分布にしたがう確率変数 &mimetex(\normalsize x ); と、自由度 &mimetex(\normalsize r ); のカイ二乗分布 &mimetex(\normalsize {\chi_r}^2 ); にしたがう確率変数 &mimetex(\normalsize y ); があり、互いに独立であるとする -次のようになるとき、『&mimetex(\normalsize x ); は、自由度 &mimetex(\normalsize r ); のt分布にしたがう』という #mimetex(){{ t = \frac{ x }{ \sqrt{ \frac{ {\chi_r}^2 }{r} } } }} -(感覚としては)正規分布に従う統計量を標準化したものの分布を表す ***t分布の特徴 [#c32df38a] -平均は 0 、分散は &mimetex(\normalsize \frac{r}{r-2} ); になる -自由度が大きくなると、標準正規分布に近づく -母平均の推定や検定、平均値の差の検定や検定など、多くの統計的推定で利用される **F分布 [#xab38cea] ***F分布とは [#n988faf9] -確率変数 &mimetex(\normalsize x ); と確率変数 &mimetex(\normalsize y ); が、 それぞれ自由度 &mimetex(\normalsize m ); と &mimetex(\normalsize n ); のカイ二乗分布にしたがい、互いに独立であるとする -次のようになるとき、『&mimetex(\normalsize x ); は、第一自由度が &mimetex(\normalsize m ); で第二自由度が &mimetex(\normalsize n ); のF分布にしたがう』という #mimetex(){{ F = \frac{ {\chi_m}^2 }{m} \middle/ \frac{ {\chi_n}^2 }{n} }} -(感覚としては)分散の比に対応する分布を表す ***F分布の特徴 [#p0534ee7] -分散検定や分散分析(分散比の分布を調べる)に利用される -平均は &mimetex(\normalsize \frac{n}{n-2} ); 、分散は &mimetex(\normalsize \frac{ 2n^2 (m+n-2) }{ m(n-2)^2 (n-4)} ); になる |