Top > 2015 > 13th > Mean_Test
AND OR

対応のない2組の平均値の差の検定(母分散が既知)

検定の対象

対応のない(独立した)2つの母集団について考える。それぞれの母数は次のとおり。

 母集団1母集団2
母平均\normalsize \mu_1\normalsize \mu_2
母分散\normalsize {\sigma_1}^2\normalsize {\sigma_2}^2
標本の標本数\normalsize n_1\normalsize n_2
標本平均\normalsize \bar{x}_1\normalsize \bar{x}_2

平均値の差のz検定

  • 標本数の和が \normalsize n_1 + n_2 \geq 100 の場合にも使われることがある

帰無仮説と対立仮説

対応のない(独立した)2組の母集団の平均に差があるかどうかを調べる。

  • 帰無仮説 \normalsize H_{0} は「2組の母集団の平均に差はない」 : \normalsize \mu_1 = \mu_2
  • 対立仮説 \normalsize H_{1} は「2組の母集団の平均に差がある」 : \normalsize \mu_1 \neq \mu_2

検定統計量の算出

  • 標本平均の差は、第1組の標本平均から第2組の標本平均の差になる
    \bar{x}_1 - \bar{x}_2
  • 標本平均の差の分散は、各組の母分散を標本数で割ったものの総和になる
    \sigma_{ \bar{x}_1 - \bar{x}_2 }^2 = \frac{ {\sigma_1}^2 }{n_1} + \frac{ {\sigma_2}^2 }{n_2}
    • なお、標本平均の差の分散の平方根をとったものを、「標本平均の差の標準誤差」という
  • これらの式から、標準正規分布にしたがう、検定統計量 \normalsize z_0 を次の式から算出する
    z_0 = \frac{ \bar{x}_1 - \bar{x}_2 }{ \sqrt{ \frac{ {\sigma_1}^2 }{n_1} + \frac{ {\sigma_2}^2 }{n_2} } }

仮説の判定(両側検定)

  • 検定統計量 \normalsize z_0 と、有意水準 \normalsize \alpha の有意点の値(標準正規分布表などから求める)を使って、判定をする
    • 帰無仮説 \normalsize H_{0} を棄却 : \normalsize |z_0| > z_{(\alpha/2)}
      • 「有意に差がある」「検定の結果、有意である」「平均に差がある」
    • 帰無仮説 \normalsize H_{0} を採択 : \normalsize |z_0| < z_{(\alpha/2)}
      • 「有意に差はない」「検定の結果、有意でない」「平均に差があるとはいえない」

例題

  • ある製品の製造工程で、ある1週間に製造された製品200個の重さの平均は530g、標準偏差は6gであった。次の1週間に製造された製品180個の重さの平均は529g、標準偏差は5gであった。これらの結果から、それぞれの週に作られた製品の重さの平均に差はあるか?

考え方

「ある1週間」と「次の1週間」について、それぞれの製品の個数や重さの平均と標準偏差についてまとめると、次の表のようになる。なお、標本標準偏差の二乗が母分散と同じだと見なすことにする。

 ある1週間に製造された製品次の1週間に製造された製品
母分散\normalsize {\sigma_1}^2 = 6^2\normalsize {\sigma_2}^2 = 5^2
標本の標本数\normalsize n_1 = 200\normalsize n_2 = 180
標本平均\normalsize \bar{x}_1 = 530\normalsize \bar{x}_2 = 529

それぞれの週に製造された製品の重さの平均に差があるかどうか調べたいので、 帰無仮説と対立仮説は、次のようになる。

  • 帰無仮説 \normalsize H_{0} : 「それぞれの週に製造された製品の重さの平均に差はない」
  • 対立仮説 \normalsize H_{1} : 「それぞれの週に製造された製品の重さの平均に差がある」

上の表にまとめた情報から、 検定統計量 \normalsize z_0 を求める。

\begin{eqnarray}z_0 &=& \frac{ \bar{x}_1 - \bar{x}_2 }{ \sqrt{ \frac{ {\sigma_1}^2 }{n_1} + \frac{ {\sigma_2}^2 }{n_2} } } \\[10]&=& \frac{ 530 - 529 }{ \sqrt{ \frac{ {6}^2 }{ 200 } + \frac{ { 5 }^2 }{ 180 } } } \\[10]&=& 1.7708\cdots \\[10] &\simeq& 1.771\end{eqnarray}

この検定統計量を両側検定で判定すると、 有意水準 \normalsize \alpha =0.05 では、 \normalsize |z_0| = 1.771 < 1.960 = z_{(\alpha/2)} となり、 帰無仮説は棄却できない。 つまり、有意水準 5% で仮説検定を行った結果、 それぞれの週に製造した製品の重さの平均に差があるとはいえない

なお、有意水準 \normalsize \alpha =0.01 でも、 \normalsize |z_0| = 1.771 < 2.567 = z_{(\alpha/2)} となり、 帰無仮説は棄却できない。


リロード   差分   ホーム 一覧 検索 最終更新 バックアップ リンク元   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: Wed, 08 Jul 2015 19:22:22 JST (3208d)