TITLE:代表値 *代表値(average) [#b5a2191d] -データの分布などの特徴を示す数値(特性値)を「''代表値''」という。 -データ全体を''ひとつの値で代表''させる値である。 **平均値(mean) [#ja6c6e7f] ***算術平均(arithmetic mean) [#tfe77ec6] -算術平均 &mimetex(\normalsize \bar{x}); は、データをすべて足しあわせ、データ数で割ったもの。 -平均値のなかで、もっとも一般的なもの。 #mimetex(){{ \begin{eqnarray} \bar{x} &=& \frac{1}{n} \hspace{5} (x_1 + x_2 + \cdots + x_n) \\ &=& \frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} x_i \end{eqnarray} }} ***幾何平均(geometric mean) [#s21314c7] -幾何平均 &mimetex(\normalsize Gm); は、各データの値の積に対してデータ数のべき根を求めたもの。 #mimetex(){{ \begin{eqnarray} Gm &=& \sqrt[n]{ x_1 \times x_2 \times \cdots \times x_n } \\ &=& \left( x_1 \times x_2 \times \cdots \times x_n \right)^{1/n} \\ &=& \left( \prod_{i=1}^{n}x_i \right)^{1/n} \end{eqnarray} }} -幾何平均の例 --5年間の物価上昇率が7%のとき、1年の平均上昇率は何%か? --過去3年間の売上高の対前年比が120%、110%、130%のとき、平均の売上高の伸びは? ***調和平均(harmonic mean) [#f0f037b0] -調和平均 &mimetex(\normalsize Hm); は、データ数を各データの値の逆数の和で割ったもの。 #mimetex(){{ \begin{eqnarray} Hm &=& \frac{ n }{ \frac{1}{x_1} + \frac{1}{x_2} + \cdots + \frac{1}{x_n} } \\ &=& \frac{ n }{ \sum_{i=1}^n \frac{1}{x_i} } \end{eqnarray} }} -調和平均の例 --山頂まで6kmの道のりを、往きは2km/hで、帰りは6km/hで歩いたとき、平均の速さはいくらか? --車でドライブをして、最初の24kmは30km/h、次の24kmは40km/h、最後の24kmは60km/hで走った時、平均速度はいくらか? **中央値(median) [#wffe6dbf] ***中央値(中位数) [#gabbc456] -中央値 &mimetex(\normalsize Me); は、データを大きさの順に並べたときに、中央にくる値のことである。 --データ数が奇数のときは中央にくるデータの値になる。 --データ数が偶数のときは中央にある2つのデータの平均の値になる。 #mimetex(){{ Me = \left{ x_m\text{ if $n$ odd, $m=(n+1)/2$ } \\\frac{ x_m + x_{m+1} }{2} \text{ if $n$ even, $m=n/2$ }\right. }} -中央に位置するデータが複数個ある場合(「結び(tie)」があるという)、次のような式で中央値を求めることができる。 #mimetex(){{ Me = \frac{1}{ 2 n_M } ( n_{ x > M } \hspace{5} - \hspace{5} n_{ x < M } ) + M }} --中央にあるデータ : &mimetex(M); --値 &mimetex(M); になるデータの個数 : &mimetex(n_M); --値 &mimetex(M); より小さいデータの個数 : &mimetex( n_{ x < M }); --値 &mimetex(M); より大きいデータの個数 : &mimetex( n_{ x > M }); -度数分布表がある場合は、階級や度数などの情報から、中央値を求めることもできる。 #mimetex(){{ Me = l_m + \left( \frac{n}{2} - F \right) \frac{h}{f_m} }} --標本数 : &mimetex(\normalsize n); --階級幅 : &mimetex(\normalsize h); -- m 番目の階級の下限 : &mimetex(\normalsize l_m); -- m 番目の階級の度数 : &mimetex(\normalsize f_m); -- m-1 番目までの累積度数 : &mimetex(\normalsize F); ***四分位数(quartile) [#p9383ced] -ヒストグラムから考えると、四分位数はヒストグラムの面積を1/4ずつに分ける値である。 --中央値は、ヒストグラムの面積を半分に分ける値になる。 -データを大きさの順に並べた場合は、データの個数を4分の1ずつの部分にわける個所である。 -小さいほうから、第1、第2、第3四分位数といい、中央値は、第2四分位数になる。 -データが &mimetex(\normalsize n); 個のあるときの第1四分位数 &mimetex(\normalsize Q_1); と第3四分位数 &mimetex(\normalsize Q_3); は、次のようにして求められる。 --&mimetex(\normalsize n = 4k+1, \hspace{5} 2, \hspace{5} 3); の場合 #mimetex(){{ \begin{eqnarray} Q_1 &=& x_{ k+1 } \\ Q_3 &=& x_{ n-k } \end{eqnarray} }} --&mimetex(\normalsize n = 4k); の場合 #mimetex(){{ \begin{eqnarray} Q_1 &=& (x_k + x_{ k+1 }) / 2 \\ Q_3 &=& (x_{ n-k } + x_{ n-k+1 } ) / 2 \end{eqnarray} }} ***百分位数(percentile) [#xdd8fe38] -百分位数(パーセンタイル値)は、ヒストグラムの面積を1/100ずつに分ける値である。 --25パーセンタイル値は第1四分位数である。 --50パーセンタイル値は中央値(第2四分位数でもある)。 -度数分布表がある場合は、階級や度数などからパーセンタイル値 &mimetex(\normalsize p); を求めることもできる。 #mimetex(){{ p = l_m + \left( \frac{n \times p}{100} - F \right) \frac{h}{f_m} }} --標本数 : &mimetex(\normalsize n); --階級幅 : &mimetex(\normalsize h); -- m 番目の階級の下限 : &mimetex(\normalsize l_m); -- m 番目の階級の度数 : &mimetex(\normalsize f_m); -- m-1 番目までの累積度数 : &mimetex(\normalsize F); **最頻値(mode) [#n7cf0b15] -最頻値 &mimetex(\normalsize Mo); は、データのなかで''最も多く出てくる値''のことである。 --度数分布表がある場合は、もっとも度数の多い階級値を最頻値として、次の式から最頻値を求めることができる。 #mimetex(){{ Mo = l_m + \frac{ f_{m+1} }{ f{m-1} + f{m+1} } \times h }} ---最大度数の階級 : &mimetex(\normalsize m); ---階級幅 : &mimetex(\normalsize h); --- m 番目の階級の下限 : &mimetex(\normalsize l_m); --- m 番目の階級の度数 : &mimetex(\normalsize f_m); -分布が釣り鐘形の場合は、ピアソン(Pearson)の式を用いることができる。 #mimetex(){{ Mo = \bar{x} - 3 \times (\bar{x} - Me) }} **代表値の特性 [#j2b6463c] -平均値はすべてのデータを反映している。 --ハズレ値(極端に小さく・大きくて飛び離れたデータ)があるとその影響を受けやすいため、ハズレ値の考慮が必要。 -中央値(四分位数や百分位数も)は分布上の位置(中央など)を示す。 --ハズレ値の影響を受けにくく、分布に偏りがある場合に優れている。 -最頻値は、「データの多くはこのあたりにある」という説明をするのにわかりやすい。 --ハズレ値の影響を受けにくい。 |