TITLE:*ウィルコクソンの符号付順位検定 *ウィルコクソンの符号付順位検定 [#q621149a] -対応のある2つの標本について、それぞれのデータの対(各組)の差の順にもとづいて検定する -変数が順序尺度、もしくは、正規性があるか不明で間隔・比例尺度の場合に使うことができる -同一順位の場合は、次のように扱う(平均順位) --2位が2つある場合:2位と3位の中間 (2+3)/2=2.5位を順位とする --4位が3つある場合:4位と5位と6位の中間 (4+5+6)/3=5位を順位とする **検定の対象 [#i36c0164] 対応のある2組の標本(標本数は同じ)について考える。 2つの標本AとBについて、データを表にまとめると次のようになったとする。 |CENTER:|CENTER:|CENTER:|CENTER:|CENTER:|CENTER:|CENTER:|CENTER:|CENTER:|c |~ |~1|~2|~3|~4|~5|~…|~n-1|~n| |~標本A|5|3|3|4|2|…|2|4| |~標本B|3|5|1|5|2|…|1|2| -2つの標本のデータの各組を差の絶対値を求める --差が0の組は、この後の手続きから除外する -それぞれの差の絶対値に対応する組の数をもとに、差の絶対値の小さいほうから順位をつける --同一順位の場合は、次のように扱う(平均順位) ---2位が2つある場合:2位と3位の中間 (2+3)/2=2.5位を順位とする ---4位が3つある場合:4位と5位と6位の中間 (4+5+6)/3=5位を順位とする |CENTER:|CENTER:|CENTER:|CENTER:|CENTER:|CENTER:|CENTER:|CENTER:|CENTER:|c |~ |~1|~2|~3|~4|~5|~…|~n-1|~n| |~標本A|5|3|3|4|2|…|2|4| |~標本B|3|5|1|5|2|…|1|2| |~A-B|+|−|+|−|0|…|+|+| -試行回数が &mimetex(\normalsize n_1 + n_2 ); と見なして考えると、2つの標本の中央値に差がないとすれば、「大きい」と「小さい」となる確率は &mimetex(\normalsize \frac{1}{2} ); となるはず -標本数を &mimetex(\normalsize N = n_1 + n_2 ); とする **符号検定(小標本 : 二項検定を利用) [#sc80c31a] -標本数が少ない場合は、二項検定を利用して、正確な有意確率を求める ***帰無仮説と対立仮説 [#i9abbb97] 対応のある2組の標本の中央値に差があるかどうかを調べる。 -帰無仮説 &mimetex(\normalsize H_{0} ); は「2組の標本の中央値に差はない」 -対立仮説 &mimetex(\normalsize H_{1} ); は「2組の標本の中央値に差がある」 ***検定統計量の算出 [#p360dd81] -試行回数が &mimetex(\normalsize n_1 + n_2 ); の状況で、帰無仮説が成り立つとすれば「大きい」と「小さい」となる確率は &mimetex(\normalsize \frac{1}{2} ); となるのを利用 -&mimetex(\normalsize n_1 ); と &mimetex(\normalsize n_2 ); の小さい方の値 &mimetex(\normalsize m ); 以下 に対応する符号が出現する確率を求める #mimetex(){{ m = \min (n_1, n_2) }} -二項検定を利用して、次の式から「&mimetex(\normalsize m); 回以下」起きる確率を算出する #mimetex(){{ P_0 = 2 \sum_{i=0}^m {}_N C_i \left( \frac{1}{2} \right)^2 }} **仮説の判定 [#e1607938] -算出した有意確率(P値)と有意水準を比較する --片側検定 ---帰無仮説 &mimetex(\normalsize H_{0} ); を棄却 : &mimetex(\normalsize P_0 < \alpha); ---帰無仮説 &mimetex(\normalsize H_{0} ); を採択 : &mimetex(\normalsize P_0 \geq \alpha); --両側検定 ---帰無仮説 &mimetex(\normalsize H_{0} ); を棄却 : &mimetex(\normalsize 2P_0 < \alpha); ---帰無仮説 &mimetex(\normalsize H_{0} ); を採択 : &mimetex(\normalsize 2P_0 \geq \alpha); **符号検定(大標本 : 標準正規分布を利用) [#cd5ba662] -標本数が多い場合は、標準正規分布を利用して検定する ***帰無仮説と対立仮説 [#odd75632] 対応のある2組の標本の中央値に差があるかどうかを調べる。 -帰無仮説 &mimetex(\normalsize H_{0} ); は「2組の標本の中央値に差はない」 -対立仮説 &mimetex(\normalsize H_{1} ); は「2組の標本の中央値に差がある」 ***検定統計量の算出 [#wf6a0a0a] -標準正規分布にしたがう、検定統計量 &mimetex(\normalsize z_0 ); を次の式から算出する #mimetex(){{ z_0 = \frac{ | n_1 -n_2 | }{ \sqrt{ n_1 + n_2 } } }} -二項分布は離散型の分布であるため、標準正規分布のような連続型の分布に近似すると、その精度はあまりよくない -そこで、Yatesの連続補正をすることで、精度をよくする #mimetex(){{ z_0 = \frac{ | n_1 -n_2 | - 1 }{ \sqrt{ n_1 + n_2 } } }} ***仮説の判定(両側検定) [#fb3ae6fb] -検定統計量 &mimetex(\normalsize z_0 ); と、有意水準 &mimetex(\normalsize \alpha ); の有意点の値(標準正規分布表などから求める)を使って、判定をする --帰無仮説 &mimetex(\normalsize H_{0} ); を棄却 : &mimetex(\normalsize |z_0| > z(\alpha/2)); ---「有意に差がある」「検定の結果、有意である」 --帰無仮説 &mimetex(\normalsize H_{0} ); を採択 : &mimetex(\normalsize |z_0| < z(\alpha/2)); ---「有意に差はない」「検定の結果、有意でない」「差があるとはいえない」 #mimetex(){{ T_0 = \min ( T_{+} , T_{-}) }} #mimetex(){{ \mu_{T} = \frac{n(n+1)}{4} }} #mimetex(){{ \sigma_{T} = \sqrt{ \frac{ n(n+1)(2n+1) }{24} } }} #mimetex(){{ z_0 = \frac{ | T_0 - \mu_{T} | }{ \sigma_{T} } }} |