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AND OR

ウィルコクソンの符号付順位検定

  • 対応のある2つの標本について、それぞれのデータの対(各組)の差の順にもとづいて検定する
  • 変数が順序尺度、もしくは、正規性があるか不明で間隔・比例尺度の場合に使うことができる

検定の対象

対応のある2組の標本(標本数は同じ)について考える。

2つの標本AとBについて、データを表にまとめると次のようになったとする。

 12345678910
標本A269230365282295212346207308257
標本B273213383282297213351208294238
  • 2つの標本のデータの各組を差 \normalsize d_i = A_i - B_i の絶対値を求める
    • 差が0の組は、この後の手続きから除外する
  • それぞれの差の絶対値 \normalsize |d_i| に対応する組の数をもとに、差の絶対値の小さいほうから順位をつける
    • 同一順位の場合は、次のように扱う(平均順位)
      • 2位が2つある場合:2位と3位の中間 (2+3)/2=2.5位を順位とする
      • 4位が3つある場合:4位と5位と6位の中間 (4+5+6)/3=5位を順位とする
  • 標本数 \normalsize n を、差が0でない組の数とする
 12345678910
標本A269230365282295212346207308257
標本B273213383282297213351208294238
d-417180-2-1-5-11419
順位47831.551.569

ウィルコクソンの符号付順位検定

  • データ対の順位がわかる場合は、符号検定よりも効率が良い

帰無仮説と対立仮説

対応のある2組の標本の代表値に差があるかどうかを調べる。

  • 帰無仮説 \normalsize H_{0} は「2組の標本の代表値に差はない」
  • 対立仮説 \normalsize H_{1} は「2組の標本の代表値に差がある」

検定統計量の算出

  • 2つの標本の差 \normalsize d_i の順位の和を、次のように求める
    • \normalsize d_i が正の値の順位の和を \normalsize T+ とする
    • \normalsize d_i が負の値の順位の和を \normalsize T- とする
  • \normalsize T+\normalsize T- の小さい方の値を \normalsize T_0 とする。
    • 標本数 \normalsize n は、差が0でない組の数とする
      T_0 = \min ( T+ , T-)
  • \normalsize n \leq 25 (または \normalsize n \leq 50 )の場合…
    • ウィルコクソンの符号付順位検定表から、標本数 \normalsize n に対応する \normalsize T の値を求める
  • \normalsize n > 25 (または \normalsize n > 50 )の場合…
    • 平均 \normalsize \mu_{T} と標準偏差 \normalsize \sigma_{T} を次の式から求める
      \begin{eqnarray}\mu_{T} &=& \frac{n(n+1)}{4} \\\sigma_{T} &=& \sqrt{ \frac{ n(n+1)(2n+1) }{24} }\end{eqnarray}
    • 標準正規分布にしたがう、検定統計量 \normalsize z_0 を次の式から算出する
      z_0 = \frac{ | T_0 - \mu_{T} | }{ \sigma_{T} }

仮説の判定(検定表からの算出)

  • \normalsize n \leq 25 (または \normalsize n \leq 50 )の場合…
    • 帰無仮説 \normalsize H_{0} を棄却 : \normalsize T_0 \geq T
      • 「有意に差がある」「検定の結果、有意である」
    • 帰無仮説 \normalsize H_{0} を採択 : \normalsize T_0 < T
      • 「有意に差はない」「検定の結果、有意でない」「差があるとはいえない」
 
  • \normalsize n > 25 (または \normalsize n > 50 )の場合…
  • 検定統計量 \normalsize z_0 と、有意水準 \normalsize \alpha の有意点の値(標準正規分布表などから求める)を使って、判定をする
    • 帰無仮説 \normalsize H_{0} を棄却 : \normalsize |z_0| > z(\alpha/2)
      • 「有意に差がある」「検定の結果、有意である」
    • 帰無仮説 \normalsize H_{0} を採択 : \normalsize |z_0| < z(\alpha/2)
      • 「有意に差はない」「検定の結果、有意でない」「差があるとはいえない」

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Last-modified: Tue, 11 Mar 2014 19:49:35 JST (3711d)