2つの標本の仮説検定の例題対応のない2組の平均値の差の検定(母分散が既知)例題
考え方「ある1週間」と「次の1週間」について、それぞれの製品の個数や重さの平均と標準偏差についてまとめると、次の表のようになる。なお、標本標準偏差の二乗が母分散と同じだと見なすことにする。
それぞれの週に製造された製品の重さの平均に差があるかどうか調べたいので、 帰無仮説と対立仮説は、次のようになる。
上の表にまとめた情報から、 検定統計量 を求める。 この検定統計量を両側検定で判定すると、 有意水準 では、 となり、 帰無仮説は棄却できない。 つまり、有意水準 5% で仮説検定を行った結果、 それぞれの週に製造した製品の重さの平均に差があるとはいえない。 なお、有意水準 でも、 となり、 帰無仮説は棄却できない。 対応のない2組の平均値の差の検定(母分散が未知だが等しい)例題
考え方「銘柄A」のたばこと「銘柄B」について、それぞれの本数やニコチン含有量の平均と標準偏差についてまとめると、次の表のようになる。
まず、母分散が等しいかどうかを調べるため、等分散の検定をする。 F分布にしたがう、等分散の検定の検定統計量は、次のようになる。 この値を、第1自由度が 、第2自由度が 、有意水準 の F 値を分布表から調べると、3.374 となる。 検定統計量と比較すると、 となり、 2組の標本の母分散は等分散であると判断できるので、t検定を用いる。 「銘柄A」のたばこと「銘柄B」について、ニコチン含有量の平均に差があるかどうか調べたいので、 帰無仮説と対立仮説は、次のようになる。
検定統計量を求めるため、まず、 全体の分散(母分散 の不偏推定量)を求める。 したがって、検定統計量 を求めると、 次のようになる。 この検定統計量を両側検定で判定する。 有意水準 では、 自由度 のt値を分布表から調べると、 となり、 帰無仮説は棄却される。 つまり、有意水準 5% で仮説検定を行った結果、 2つの銘柄のたばこのニコチン含有量には差がある。 なお、有意水準 では、 となり、 帰無仮説は棄却できない。 つまり、有意水準 1% では、2つの銘柄のたばこのニコチン含有量には差があるとはいえない。 対応のない2組の平均値の差の検定(母分散が未知で等しくない)例題
考え方自分を「おしゃれ」と答えた女子大生と自分を「普通」と答えた女子大生のハイヒールの高さについて、答えた人数やハイヒールの高さの平均と標準偏差についてまとめると、次の表のようになる。
まず、母分散が等しいかどうかを調べるため、等分散の検定をする。 F分布にしたがう、等分散の検定の検定統計量は、次のようになる。 この値を、第1自由度が 、第2自由度が 、有意水準 の F 値を分布表から調べると、 となる。 検定統計量と比較すると、 となり、 2組の標本の母分散は等分散ではないと判断できるので、Welchの検定を用いる。 t分布にしたがう検定統計量 を求めると、 次のようになる。 次に、検定のための自由度を求める。 整数分だけを自由度として採用すると、 となる。 この検定統計量を両側検定で判定する。 有意水準 では、 自由度 のt値を分布表から調べると、 となり、 帰無仮説は棄却される。 つまり、有意水準 5% で仮説検定を行った結果、 「おしゃれ」と答えた人たちと「普通」と答えた人たちとでハイヒールの高さに差がある。 なお、有意水準 では、 となり、 やはり帰無仮説は棄却される。 対応のある2組の平均値の差の検定例題
考え方街頭で声をかけて答えた体重と本当の体重について、答えた人数や体重の平均と差の標準偏差についてまとめると、次の表のようになる。
街頭で声をかけて答えた体重と本当の体重について差があるかどうか調べたいので、 帰無仮説と対立仮説は、次のようになる。
差の平均は、次のように、対応するデータ同士の差を求めて、 その合計を標本数で割ったものになる。
t分布にしたがう検定統計量 を求めると、 次のようになる。 この検定統計量を両側検定で判定する。 有意水準 では、 自由度 のt値を分布表から調べると、 該当する自由度がないため、最も近い自由度120のときのt値を読み取ると、 となり、 帰無仮説は棄却される。 つまり、有意水準 5% で仮説検定を行った結果、 街頭で声をかけてときに答えた体重と本当の体重には差がある。 なお、有意水準 では、 該当する自由度がないため、最も近い自由度120のときのt値を読み取ると、 となり、 帰無仮説は棄却できない。 つまり、有意水準 1% では、街頭で声をかけてときに答えた体重と本当の体重には差があるとはいえない。 比率の差の検定例題
考え方男女それぞれ有権者について、それぞれの人数や支持者の数についてまとめると、次の表のようになる。
男女それぞれ有権者について、内閣支持率に差があるかどうか調べたいので、 帰無仮説と対立仮説は、次のようになる。
まず、母比率の推定値 を求める したがって、検定統計量 を求めると、 次のようになる。 この検定統計量を両側検定で判定すると、 有意水準 では、 となり、 帰無仮説は棄却される。 つまり、有意水準 5% で仮説検定を行った結果、 男性と女性とで内閣支持率に差がある。 なお、有意水準 では、 となり、 帰無仮説は棄却できない。 つまり、男性と女性とで内閣支持率に差があるとはいえない。 |