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健康統計の基礎・健康統計学 - 2011/14th/Hypothesis_Testing_Approach の変更点

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TITLE:仮説検定の考え方
*仮説検定の考え方 [#r04c0b10]

仮説検定の考え方について、簡単な例を用いて考えてみましょう。

**コインを投げて表が出た回数を数える [#m0624b13]

例として、コインを10回投げて、表が出た回数を数えることを考えてみましょう。

ゆがみがない、いわゆる「かたよりのない」コインであれば、
コインを1回投げた結果、表が出る確率も裏が出る確率も、
ちょうど半分の &mimetex(\normalsize \frac{1}{2} = 0.5 ); と考えて問題ないでしょう。
つまり、10回投げた結果として表が出る回数は5回ぐらいが最も多いと考えられます。

そこで、「''あるコイン''」を10回投げたところ、
表が9回も出たとします。
この「あるコイン」は「かたよりがない」コインでしょうか?
それとも「かたよりがある」コインでしょうか?


**「コインにはかたよりがない」という仮説を立てる [#ddcc415b]
''仮説検定''では、母集団に対するある''仮説''を立てます。
そして、母集団から取り出した一部分、つまり標本を使って、
その結果が偶然のものなのか必然なのかを確率的に調べて、
仮説が正しいかどうかを判断する方法です。

今、「コインを10回投げたうち9回表がでた」ことについて考えています。
コインにかたよりがある可能性がありそうです。
そのことを仮説検定で確かめてみましょう。

仮説検定では、どちらかというと主張したいことに反対の仮説をまず考えます。
これが、「母集団に対するある仮説」になります。
この仮説を「無に帰することを予定した」という意味で、
「''帰無仮説''」といいます。
そして、帰無仮説に対立する仮説、つまり、
どちらかといえば主張したい仮説を「''対立仮説''」といいます。

もしコインにかたよりがあるとしても、どの程度かたよっているかまではわかりません。
そこで、帰無仮説として「''コインにかたよりはない''」という仮説を立てることにします。

まとめると、帰無仮説と対立仮説は次のようになります。
-帰無仮説 : 「コインにはかたよりが''ない''」
-対立仮説 : 「コインにはかたよりが''ある''」


**コインの表が出る回数の確率を求める [#h215d703]
次に、帰無仮説として立てた仮説のもとでの確率を求めて、
その確率をもとに、
今考えている事象(コインを10回投げたら9回表が出た)が偶然起こったことか
必然的に起こったことかを判断してみましょう。

コインのように表または裏の2種類の結果を考えるには、
第9回で学習した、[[二項分布>../../9th/Binomial_Distribution]]の考え方を利用します。
第9回で学習した、[[二項分布>../../12th/Binomial_Distribution]]の考え方を利用します。
二項分布は、ある独立な試行について事象 &mimetex(\normalsize A ); が起こる確率を &mimetex(\normalsize p ); 、起こらない確率を &mimetex(\normalsize q (= 1-p) ); とすると、この試行を独立に n 回繰り返したときに、事象 &mimetex(\normalsize A ); が起こる回数を確率変数 &mimetex(\normalsize X ); としたとき、 &mimetex(\normalsize X = x ); (つまり x 回起こる)となる確率は次のようになります。
#mimetex(){{
\begin{eqnarray}
\mathrm{P}( X=x ) &=& {_n} \mathrm{C}_x p^x q^{n-x} \\[10]
&=& \frac{n!}{x! (n-x)!} p^x q^{n-x} \\[10]
&=& \frac{n!}{x! (n-x)!} p^x (1-p)^{n-x}
\end{eqnarray}
}}

今回は、10回のうち表がでる回数を確率変数 &mimetex(\normalsize X ); として考えます。
表が出る確率も表が出ない(裏が出る)確率も同じで &mimetex(\normalsize p = q = \frac{1}{2}); となりますから、表が x 回でる確率は次のようになります。
#mimetex(){{
\begin{eqnarray}
\mathrm{P}( X=x ) &=& { _{10} } \mathrm{C}_x \left(\frac{1}{2}\right)^x \left(\frac{1}{2}\right)^{10-x} \\[10]
&=& {_{10} } \mathrm{C}_x \left(\frac{1}{2}\right)^{10} \\[10]
&=& \frac{ {_{10} } \mathrm{C}_x }{1024}
\end{eqnarray}
}}
この式を計算した結果を、確率分布として次のようにまとめておきます。
|CENTER:|CENTER:|CENTER:|CENTER:|CENTER:|CENTER:|CENTER:|CENTER:|CENTER:|CENTER:|CENTER:|CENTER:|c
|~ &mimetex(\normalsize X ); |0|1|2|3|4|5|6|7|8|9|10|
|~確率|0.001|0.010|0.044|0.117|0.205|0.246|0.205|0.117|0.044|0.010|0.001|


**仮説から求めた確率をもとに判断でする [#jf2812b4]
今考えている仮説は「コインはかたよりがない」です。
では、10回中9回表が出るコインにかたよりがないのかあるのかを判断するには、
どうすればよいでしょう。

ここで、「コインにかたよりがないという仮説のもとで、
まれなこと(ある一定の確率以下の出来事)が起きた場合は、
そのコインはかたよりがないとは見なせない」としましょう。
これが仮説検定では重要な考え方です。

この「まれなこと」が起きたと判断する基準を、
''有意水準''といいます。
有意水準はあらかじめ決めておきます。
一般には5%(0.05)か1%(0.01)が使われます。
今回は有意水準を5%としておきましょう。

>
有意水準は、「100回のうち5回以下しか起こらない」という
どのくらい稀(まれ)なことが起こるかの判断基準となります。&br;
しかし、正しい仮説であっても、100回のうち5回以下しか起こらないことが
起こってしまう場合も考えられます。
つまり、「100回のうち5回未満は間違った判断をして、正しい仮説を捨ててしまう」可能性があることになります。
このような誤った判断をする危険があるため、
有意水準を「''危険率''」とも呼びます。
そして、「正しい帰無仮説を捨ててしまい、対立仮説を採択してしまう」ことを
''第一種の過誤''といいます。
<

表が9回はでる確率は、「表が9回でた」場合と「表が10回でた」場合の確率を足し合わせたものになります。少なくとも9回は出た、と考えます。
確率分布の表から、表が9回は出る確率は、0.010+0.001=0.011となります。
有意水準を5%(0.05)と考えると、それより小さい確率です。

''有意水準より小さい確率で起きてしまったこと''を、
仮説検定では「''仮説では起こるはずのないことが起こった''」と見なします。
このことを「''帰無仮説を棄却する''」といいます。
もし、有意水準より大きい確率だった場合は、
「仮説で起こるはずのないことが起こらなかった」とみなして、
「帰無仮説を棄却できなかった」といいます。
今回の場合、表が9回でるのはめったに起こらないことが起こったので、
帰無仮説を棄却し、「''コインにはかたよりがある''」という判断になります。

ちなみに、表が8回でたコインが別にあったとしましょう。
そのコインにかたよりがあるかどうかを考えると、
8回以上表が出る確率は、確率分布から求めると、
0.044+0.010+0.001=0.055となり、有意水準5%を超えることになります。
つまり「コインにかたよりがない''とはいえない''」という判断になります。

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