インターネット
インターネットのしくみインターネットは、現在の私たちの生活に浸透し、仕事に趣味にいろいろな場面で多くの人々に活用されています。しかし、そのしくみを知っている人は少ないでしょう。ここでは、そのしくみを見ていきましょう。 ○ ネットワーク(Network) 2台以上のコンピュータを通信回線で結んで、情報交換や情報共有をできるようにしたものです。これに対し、ネットワークに接続しないで単独で利用する状態をスタンドアロン(Stand-Alone)といいます。 ○ LAN(Local Area Network) ひとつの部屋や部署、またはひとつの建物の中で、多くのコンピュータやネットワーク機器(ルータ、スイッチ、HUB等)をネットワークで結んだものをLANといいます。 会社の社内LAN、学校の学内LANなど、組織内での情報共有のために作られます。 ○ WAN(Wide Area Network) 大学間や企業間のように組織同士が情報共有するため、それぞれが作り上げたLANを接続したものをWANといいます。また、会社の支社・支店間や学校のキャンパス間のLANの接続のような、広い範囲のネットワークのこともWANといいます。 ○ インターネット(Internet) WANの考えがより進んで、世界各国のさまざまな組織のLANを相互に接続したもの、これをインターネットといいます。そのような構造のため、「ネットワークのネットワーク」と呼ばれることもあります。 インターネットには、全世界の、学校や企業・ISP(プロバイダ:Internet Service Provider)、政府機関や各種団体といった、さまざまな組織が参加しています。 [図:インターネットのしくみ] インターネットの歴史インターネットの起源は、アメリカ国防総省が1969年から開始したARPANETという実験です。実験当初は四つの大学・研究機関が参加して軍事目的の実験が行われました。その後、ネットワークの実験へと移り、そのほかの大学や企業も参加できるようになりました。やがて全米に広がる巨大なネットワークとなり、現在のインターネットの原型となりました。「インターネットは昔は研究者のものであった」といわれるのはこのためです。その後、1990年ごろから商用プロバイダが登場して、ビジネスやサービスのためにも利用できるようになり、現在も成長し続けてます。 一方、日本では、1984年にJUNETという大学や研究機関を中心とした組織が発足して、学術・研究を目的とした、日本のインターネットの基礎が作られました。その後、WIDEインターネットにその使命は引き継がれ、1993年に日本でも商用プロバイダが登場し、日本でもインターネットが普及することとなりました。 インターネットでの情報の場所インターネットには、多くのコンピュータやネットワーク機器が接続され、さまざまな形式の情報が蓄積されています。情報を交換し共有するには、情報を蓄積しているコンピュータや情報そのものの場所を知る必要があります。 現実の世界では住所・郵便番号や電話番号などで場所を特定することができますが、インターネットでは次の2つのしくみを使ってコンピュータの場所を特定することができます。 IPアドレスインターネットに接続されたコンピュータやネットワーク機器を一意に識別する(ほかに同じアドレスを持つものがない)ためのものが、IPアドレスです。IPアドレスはインターネットに接続しているすべてのコンピュータが持っていますので、IPアドレスがわかれば確実にそのコンピュータアクセスすることができます。次のように、ピリオド(.)で区切られた四つの数字の組み合わせであらわします。 例:202.244.76.210 実際には、32ビット(2進数で32桁)の数字で表されたものを、8ビットずつをピリオドで区切り、10進数であらわします。 また、多くの組織がインターネットに参加してきたため、最近IPアドレスが枯渇してきました。現在、それを解消するIPv6という技術が日本を中心に開発されています。 ドメイン名文字を使ってインターネット上の場所をあらわすためのものが、ドメイン名やホスト名です。一般に「インターネットのアドレス」として普及しているのは、これです。コンピュータのある場所や組織をあらわすように、次のようなピリオドで区切られた文字列の組み合わせであらわされます。 例:skanda.ed.hyogo-dai.ac.jp ピリオドに区切られた部分を右から順にみることで、場所や組織がわかります。一番右の部分をトップレベルドメインといい、次のいずれかになります。 ・ 国コード 国の名前をアルファベット2文字で表します。 ・ ジェネリックトップレベルドメイン(gTLD) 組織の種類をアルファベット3文字以上で表します。 右から2番目の部分は、1番目が国コードの場合には、アルファベット2文字の組織属性コードとなります。gTLDや組織属性の左隣は、組織名となります。ここまでを一般にドメイン名といい、登録を承認する機関によって決められます。組織名より左の部分はその組織が自由に決められるサブドメインという部分です。一番左が、コンピュータの名前です。先に挙げた例は次のように解釈することができます。 jp 日本(国コード) ac 大学・研究機関(組織属性コード) hyogo-dai 兵庫大学(組織名) ed 教育目的(サブドメイン) skanda コンピュータ名 国コード 国名 gTLD 種類 jp 日本 edu アメリカ教育機関 uk イギリス com 企業 kr 韓国 gov アメリカ政府機関 cn 中国 net ネットワーク組織 de ドイツ org 非営利団体 組織属性 種類 ac 学術・研究機関 ed 小中高等学校など co 企業 ne ネットワーク組織(プロバイダなど) go 政府 or 非営利団体 gr グループ IPアドレスとドメイン名を対応させるしくみを、DNS(Domain Name System)といいます。ドメイン名は人にはわかりやすいですが、コンピュータにとってはIPアドレスのほうが扱いやすいため、このようなシステムを利用します。 IPアドレスやドメイン名は、インターネット上で情報を特定するために必要不可欠なものです。そのため個人や組織が勝手に利用できないよう、管理する組織が存在します。インターネットレジストリという組織で世界各国にあります。利用者はインターネットレジストリに申請することで、自分たち専用のIPアドレスを取得し、ドメイン名を使用することができます。 日本では、日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)が中心となって、日本に割り当てられたIPアドレスやドメイン名を管理しています。 インターネットでの情報の交換ネットワークを使ってコンピュータ同士が情報交換するには、いくつかの手続きや方法があります。とくに、インターネットでは、多くのコンピュータが情報交換をするために、手続きや方法が決められています。 TCP/IPインターネットに接続されたコンピュータ同士が情報交換するときに使用する手続きのことを、プロトコル(通信規約)といいます。ネットワークを通じてコンピュータ同士がしゃべる共通語のようなものです。 プロトコルにはいろいろな種類がありますが、インターネットではTCP/IPが使用されます。TCP/IPでは、データをパケットという単位に分割して、送受信します。 クライアント・サーバTCP/IPを使ってコンピュータ同士はデータを交換しますが、交換したデータを処理する方法として、インターネットで最も利用されている方法が、クライアント・サーバ方式です。インターネットのサービスのほとんどは、この方式をとっています。 コンピュータが、クライアント(client:依頼者)とサーバ(server:提供者)にわかれ、サーバはクライアントから依頼された処理を内部で処理し、その結果のみをクライアントへ返します。 サーバを使用しないで、直接コンピュータ同士がデータを処理する方法を、P2P(ピア・ツー・ピア)といいます。最近では、ファイル交換などに利用されます。 インターネットでできることテレビや雑誌には「インターネットを使う」という言葉を耳にしますが、インターネット自体はネットワークに過ぎません。本当は、インターネット上で動いているさまざまな機能を利用しているだけです。インターネット上で提供される機能をサービスといいます。 主なインターネットのサービス*電子メール(E-mail)インターネットで昔から利用され、現在最もよく利用されているサービスが、電子メールです。「ネットワーク上の郵便」であり、ネットワークを使ったコミュニケーションの代表といえるでしょう。 電子メールを利用するには、自分自身のメールアドレスとメールソフト(メーラー)が必要です。もともとは文字だけのコミュニケーションでしたが、最近では静止画や動画・音声なども送受信することができます。 *WWW(World Wide Web)電子メールと並ぶ、インターネットの代名詞がWWWです。Netscape NavigatorやInternet Explorerなどのブラウザという閲覧ソフトを使うことで、インターネット上に公開されている情報を見ることができます。 情報はHTML(Hyper Text Mark-up Language)という言語で記述され、文字だけでなく静止画や動画などさまざまな種類の情報を、ページという単位で構成して、公開することができます。 そのほかのサービス*FTPネットワークで接続されたコンピュータ同士でファイルを転送するサービスです。接続先に自分のユーザを登録されている必要がありますが、一般公開が目的の匿名(Anonymous)FTPサービスというものもあります。 *TELNETネットワークを使って、別のコンピュータを操作するためのサービスです。主に、ワークステーションなどで提供されているサービスです。FTPと同じで、相手先に自分のユーザが登録されている必要があります。 |